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M12-M15 – 怒れる者たちの一周年

Spanish Revolution 2012 タグと , , への Quatre Gats による投稿 (2012/05/18)

12Mのデモについては「反緊縮策」や「反格差」とも報道されていたようですが、¡Democracia Real Ya!真の民主主義を今すぐに!という呼びかけ団体の名前が表しているように、15Mいわゆる「怒れる者たち」が問題にしているのは現在の民主主義のあり方です。日本を含めた多くの先進国が採用しているドント方式に基づく議会制民主主義への問題提起なのです。それは、デモの呼びかけ文の「政治家や銀行家が私たちの代表ではないことをはっきりさせるために、私たちは声を張り上げ続けている」という一文に明白です。

また「1%と99%」というフレーズも、一部の人々に富が集中している経済的格差のみを示すものではありません。少数の意見だけで大多数の未来が決まってしまうという現在の民主主義の不完全さを象徴する数字でもあるのです。緊縮政策に反対する何十万という人々が各都市の通りを埋め尽くしても、予算の不足を理由にPP国民党政府は教育や医療予算の削減、公共料金の値上げといった緊縮措置を推し進める。その一方で、銀行支援のためにはお金は惜しまない…。政治家たちは誰の声を代弁しているのか? 政府は誰のためのものなのか? スペインの人々がそう考えるのは当然と言えば当然でしょう。

とは言っても、抽象的な要求ばかりでは状況は変わらないので、ローン不払いによる強制立ち退きの被害者の団体PAH (Plataforma de Afectados por la Hipoteca)や医療予算カットに苦しむ人々の団体PARS(Platoforma de Afectados por los recortes sanitarios)との連携を深めるなどして、具体的な問題の解決策を探る活動にも力を入れています。少しでも自分たちの声が政府に届くように。

今回はM-12土曜日のデモ以降の様子をまとめて紹介します。デモ終了後にカタルーニャ広場で開催された総会を皮切りに14日まで、例年と同じように活動の中心はカタルーニャ広場でした。こちらが13日と14日のプログラム。

医療、教育、監査、住宅に関するCharlaチャルラが並んでいます。昨年はこのチャルラという言葉を「講演会」と訳していたのですが、全然堅苦しいものではないので「勉強会」という日本語を当てた方が雰囲気が伝わるかもしれませんね。

スペイン最大の銀行BBVAの前で経済危機に関して話しているのは、経済学者Arcadi Oliveresアルカディ・オリベレス。『平和と正義』代表で昨年15Mのデモでマニフェストを読んだ人物です。

広場での討論会。みんな参加者の発言に真剣に耳を傾けています。カタルーニャ広場に1年前の活気が戻ってきました。

その後の総会には福祉国家を専門とする経済学者Vicenç Navarroビセンス・ナバロも参加しました。新自由主義を批判する意見を発表する機会を著しく制限しているとして、マスコミを厳しく批判している彼はこうした機会を利用したりやブログや通じて直接人々に語りかけています。

一方で、直接行動も15M運動の重要な活動です。「行動の日」とされた最終日5月15日は市内の様々な場所で抗議活動が行われました。ラジオでマニフェストを読んだり、銀行に押しかけて強制退去に抗議したり、PP国民党、PSOEスペイン社会労働党、CIU集中と統一党といった大政党本部に抗議に訪れたり…。

金融システムの中枢株式市場前にも抗議グループの姿が。

一日中いくつかのグループに分かれて、様々な抗議活動が行われました。「抗議ピクニック」と名付けられた中央政府与党PP本部前でのランチには300人近くの参加者があったとか。この日の夜の総会をもって15M一周年記念は幕を閉じ、広場での活動はひとまず終了となりました。

デモの動員や警察の広場強制排除など視覚的にインパクトのある抗議活動ばかりが報道されていますが、15M運動は情報の提供にも力を入れています。日曜日のカタルーニャ広場には、昨年のように15M運動の内部組織のブースではなくて、上述のPAHや借金の市民監査を進める団体や銀行に進められた金融商品で貯蓄を失った人々の団体のブースが並び、一回りすると経済危機がどんな問題を引き起こしたのかが良くわかるようになっていました。また、昨年からNotícies d’última hora DRJ BCN!というweb新聞を発行していたのですが、今年の3月にInformació Real Ja! 真の情報を今すぐに!という紙版が生まれ、毎月1万部が無料で配布されています。

10月15日の世界デモのときに「世界よ、目を覚ませ!」というキャッチフレーズがありました。ちょっと大げさですが人々が目を開くというか、意識を変えるきっかけを作るというのが、15M運動が担っている役割なのかもしれません。

「テレビを消して、君の頭にスイッチを入れろ」

私たちが暮らす世界を動かすシステムの不具合が、経済や社会の問題となって表れている。こうした問題を解決して、私たちが望む未来を生み出すためには、民主主義を私たちの手に取り戻すことが必要だ。そのためには、社会を構成する私たち一人一人が行動しなければならない。だからこそ、私たちは君の参加を待っている。これが様々な活動を通して15Mが発信しているメッセージなのです。ましてや、経済危機は自然災害ではなく、人災なのですから。

「危機はでっちあげだ。アイスランドを見て、不安から抜け出そう。真の民主主義を今すぐに!」

12M – 1年後のカタルーニャ広場

Spanish Revolution 2012 タグと , , への Quatre Gats による投稿 (2012/05/13)

早いものであの15-Mから丸一年が経とうとしています。すべての始まりとなった5月15日のデモを呼びかけた¡Democracia Real Ya!が、5月13日から15日にかけて1周年を記念する行動12M-15Mを呼びかけました。まずは、その呼びかけに耳を傾けてみましょう。

 El 12 de mayo: ¡Toma la calle! – 5月12日通りを占拠しよう!

私たちは99%

昨年10月15日には82カ国1000都市以上で多くの人々が共に通りへ飛び出した。私たちは通りを占拠し、組織を作り上げ、世界的変革に向かう道を歩き出した。

それから6ヶ月以上が経過し、政治家や銀行家が私たちの代表ではないことをはっきりさせるために、私たちは声を張り上げ続けている。民衆の99%の幸福が考慮されるように、私たちは連携して、共に考え、自分たちの要求を求める人々だ。

私たちの政府の正当性は社会の大多数の利益に配慮する義務に在るのであって、特権を持つごく少数の利益にではない。

私たちはどこにでもいる。彼らが思いもかけないところに私たちはいる。

社会に対して権力を振るう者たちが服従させるための道具として、私たちに貧困や不公平、環境破壊、汚職、運命づける限り、私たちは全力で非暴力的に社会正義、富の分配、公共倫理を要求する。

私たちは自分たちの、民衆の99%の目的を達成するまでは行動を止めない。自分たちが生きたいと望む世界を全員で決めるまでは、私たちは何度でも通りへ飛び出すだろう。

私たちは世界的変革を望む!

5月12日に通りを世界最大のスピーカーにしよう!

私たちが99%なのだから!

私たちは政治家と銀行家の手中にある商品ではないのだから!

5月12日通りを占拠しよう!

12M-15Mを行う5つの理由

もう1ユーロたりとも銀行を救済のためには使わない

質の高い公共の教育と医療

ワーキングプアと労働法改革にNO

まともな住宅の保障

全ての人々にベーシックインカム

ちなみに、これが事前に配布されていたデモ・ガイド。ガイドには当日のルートや注意事項などが載っています。

そして、5月12日18時に私たちも再びカタルーニャ広場へ向かいました。

『公教育のための算削減はなし』

『暴力反対』

ピカソの『ゲルニカ』まで

『君の問題は私の問題』

『より良い世界のために私たちは闘う』

こうして、1年後に再びカタルーニャ広場に戻ってきました。

バルセロナのデモ参加者数は警察発表で4万5000人、主催者発表で20万人だとか。スペイン全土ではバレンシアとマラガ(アンダルシア)でそれぞれ2万人、ビーゴ(ガリシア)で6000人、テネリフェ(カナリア諸島)5000人など。

そしてマドリッドのプエルタ・デル・ソル広場の様子は、こちらの360度写真でご覧ください。また、パリ、ロンドン、ブリュッセルなどでも同時行動が行われたと報道されています。再び、熱い季節が始まりました。

スペイン第四の銀行の国有化

Spanish Revolution 2012 タグと への Quatre Gats による投稿 (2012/05/10)

昨日スペイン政府が国内で4番目の銀行Bankiaバンキアの国有化することを発表しました。このいきさつを簡単にまとめてみると…。

5月7日月曜日にバンキア総裁Rodrigo Ratoロドリゴ・ラトが辞任を発表し、後継者にJosé Ignacio Goirigolzarriホセ・イグナシオ・ゴイリゴルサリを指名したのが全ての始まり(ラトについてはこちらの記事も参照ください)。

彼が後継者に指名したゴイリゴルサリは2009年に退職したBBVA(国内第二)から300万ユーロの終身年金を受け取っているそうで、この総裁の交代には大きな批判が巻き起こりました。

一方でラジオ番組に出演したラホイ首相が、バンキアを救済するためにさらなる公的資金投入の可能性を示唆。これもまた「教育や医療分野で大幅な予算削減を行っている一方で、まだ銀行に金をつぎ込むのか」と厳しい批判に晒されます。その日の夕方IU左派連合は「公的資金を投入するなら、政府が直ちに介入して国有化しろ」と要求しました。

そして、昨日5月9日にゴイリゴルサリが新総裁に就任すると、夕方にはバンキア親会社BFA(Banco Financiero y de Ahorros)の国有化の噂が流れます。スペインの金融システムの体力に対する株式市場の疑念が再燃したことで、株価は再び急下落し、バンキアの市場価値はこの3日間で6億ユーロ分減少。

結局、噂は本当でした。2010年12月28日にFROB(銀行再建基金)が参加優先株の形でBFA に投入した44億6500万ユーロが国家所有の普通株に転換されることを経済相が発表したのです。つまり、FROBがバンキアの資本の45パーセントを間接的な所有者となり、バンキアのコントロールを有することになるということ。

BFAはCaja MadridやBancajaなど7つの銀行が合併してできた非上場の組織で、グループ企業の有害な資産をまとめて保有するいわゆる「バッド」バンクでした。この銀行が株式45パーセント以上を所有して、普通の銀行業務を行うバンキアの筆頭株主となっています。そのため、国家がBFA株の100パーセントを所有するということが、国家がFROBを通じてバンキアのコントロールを有する意味になるというわけです。

しかしながら、国のコントロール下に入ることは、そのまま公的銀行になることを意味するのではありません。「資本の投入は介入を意味しない」という経済相の言葉どおり、現状では1000万人の顧客と40万人の株主を有するバンキアの経営は、ゴイリゴルサリという私人によって行われるのですから。

こうした状況を受けて、公的銀行を求める声はさらに大きくなっています。

(Publico紙『El Estado controlará Bankia』参照)

脅かされるシェンゲン協定

Spanish Revolution 2012 タグと , への Quatre Gats による投稿 (2012/05/01)

欧州内の人々の自由な往来を保証するシェンゲン協定を巡る状況が変わりつつあります。3月のこと。5月3日からバルセロナで欧州中央銀行(ECB)サミットが開催されることを理由に条約が停止され、カタルーニャ内のスペインとフランスの国境で検問が復活しています。ちなみに、現在選挙戦真っ直中のフランス大統領サルコジは3月の演説中に、国境の検問を強化するためにシェンゲン条約の見直しが必要であると訴え、ドイツの支援も得ていると発言しています。

スペインは欧州の怒れる人々に対して国境を遮断

バルセロナで開催される欧州中央銀行(ECB)サミットのために、シェンゲン協定が一時停止

バルセロナで5月2日、3日に開催される欧州中央銀行(ECB)サミットのために、マリアノ・ラホイ政府はEU加盟国間の人々の自由な往来を可能にするシェンゲン協定の一時停止することを発表した。国境の検問は4月28日土曜日の0時に開始、5月4日金曜日が終わるまで行われる。3月29日のゼネストの動員とバルセロナで起こった警察とデモ参加者の衝突を受けて、大規模な動員に終止符を打つための新たな仕組みを試している政府は、サミットに向かう欧州の活動家の入国を妨げるためにこの措置を取ることにした。

内務相はシェンゲン協定の停止で国境の検問を大々的に行うことで安全性が高まり、ECBに反対するために多くの人々が集まるのを阻止できるとしている。政府はラ・ジョンケイラ、ポルト・ボ、プッチセルダ、カンプルドン、レス、カンフランなどフランスとの国境の地上検問を強化する。ジロナとバルセロナの空港においても人々の入国が監視されることになり、入国を拒否される可能性もある。シェンゲン協定のテキストは、「公の秩序や国内の安全にとって深刻な脅威」となる場合には、国境のない欧州における人々の自由な往来を一時的に中断することができると定めているのだ。

さらには、カタルーニャ州政府と中央政府は7000人まで警官派遣できるように準備しており、サミット開催中はバルセロナに国家警察2000人、州警察及び市警察で4000人以上が配置される。この大規模な派遣に関して州警察長官マネル・プラットは、ECBの訪問は「中央政府にとって大きな賭け」であると言って正当化し、治安を最大限まで強化することが必要だと付け加えたと、Europa Pressは報道している。警察の指揮を取るのは、安全局長イグナシオ・ウリョアと州内務相フェリプ・プッチ。治安維持部隊は、州警察の管轄と責任である「公の秩序が維持できない」場合にのみ出動するとしている。

学生、教育者、職員をまとめるPUDUP公立大学擁護統一プラットフォームは、サミットと重なる5月3日に、教育相ホセ・イグナシオ・ベルトが計画している学費の引き上げに反対する大学ストを呼びかけている。PUDUPは、11月17日と2月29日に行われた州政府の予算削減に反対する大学ストを呼びかけた団体である。

以前にも国際機関に反対する人々の動員を阻止するためにこの措置が取られたことがあった。その中でもとりわけ重要なのが、NATOサミットのためにリスボンで2010年11月に行われたものだ。ポルトガルは、NATOサミット解散期間中全欧州からの活動家数十名を追放した。サミットに先立つ数日間、全欧州からの活動家数十名のポルトガルへの陸路と空路での入国を妨害した。ポルトガル警察は追放した総人数を明らかにしなかったが、丸ごと停止させられたバスが数台あった。

2010年にポルトガル当局によって拘束されたスペインの活動家の1人は、彼にも仲間にも前科や係争中の問題はなかったにもかかわらず、「空港で私たちは4時間以上に渡って足止めされ、一人づつ尋問にかけられ、全ての所持品をチェックされ、政治的思想について聞かれた。それからスペインに戻る飛行機に乗せられた」とPúblico.esに語った。シェンゲン条約の停止は国がEU加盟国の人々に対して入り口を閉鎖することを可能にするが、条約は誰に入国を許可し誰を拒否するかを決める手続きを定めていない。追放された活動家は「おそらくスペイン警察が私たちを追い出すための調書をポルトガルに渡したのだろう。前科がないのだから合法ではない活動家のリストを使用したのは明らかだ」と言っている。

2012.04.27 España blinda las fronteras contra los indignados europeos

アルゼンチン政府のYPF国有化を巡って

Spanish Revolution 2012, Uncategorized タグと , への Quatre Gats による投稿 (2012/04/18)

月曜日4月15日アルゼンチンのフェルナンデス大統領がRepsolの子会社である石油会社YPFの株の51パーセントを取得すると発表。それを受けて、スペイン政府はその夜緊急会見を行いました。

会見に姿を現したのはラホイ首相ではなく、ソリア産業相とガルシア=マルガリョ外相の2人。産業相は「アルゼンチン政府の決定はRepsol、つまりスペイン企業、つまりスペインとスペイン政府に対する敵対的な決定である」、外相は「この決定はアルゼンチンとスペインの和気藹々とした友好関係を破壊するものだ」「スペインにとっても、アルゼンチンにとっても最悪の決定であり、ビジネスの分野を制御するべき司法システムにとって最悪のニュースである」と、アルゼンチン政府の行動を厳しく批判し、スペイン政府は数日間のうちにしかるべき措置を取ると語りました。

しかしながら、環境保護団体やIU連合左派はアルゼンチンの決定に理解を示めしています。15-M運動を経てIUの国会議員となった経済学者Alberto Garzónアルベルト・ガルソンがブログに書いた記事に、その理由が簡潔にまとめられていたので、ここでご紹介します。

アルゼンチン政府によるRepsolの子会社YPFの国有化

クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル大統領率いるアルゼンチン政府は、数日前から噂されていたことを是認して、多国籍企業Repsolの子会社YPF社の国有化を発表した。この投稿では、この問題について私たちが今までに発表してきた情報の中から特に重要なものを集めてみた。

第一に、この措置自体に関していくつかのことを明白にしておきたい。というもの、現在のところ情報が漠然としているからだ。詳細を明確にすることなく、「接収(expropiación)」「国有化(nacionalización)」「買収(compra)」と呼ばれている。こうした定義は重要であって、概念を伴うものでなければならない。しかしながら、現在までに入手できる情報によると、事実上はアルゼンチン政府による「国有化」-つまり、今のところその価格は示されていないが、対価が支払われる-ということである。そして、双方の意志による決定ではなく、一方的なものであり、買取価格は指定されていない。

第二に、YPFは多国籍企業Repsolが100パーセント所有する機関ではない。実際のところ、RepsolがYPFの約57パーセントを支配することで最大株主となり、支配権と経営権を有しているが、YPFが行うビジネスの利益を全て得ているわけではない。残りはアルゼンチンの個人資本家や(アルゼンチンや外国資本が有する)流動資本が所有している。

第三に、その歴史が重要だ。YPFは1922年にアルゼンチン国家が設立し、いわゆる調整政策の枠組みにおいて国際機関-とりわけIMF(国際通貨基金)-が後援する民営化プロセスが開始する1992年までは国家名義であった。YPFはRepsol -かつてスペインの公営企業であった-が大部分の株を取得した1999年に民営化を完了した。

1930年代に始まった「輸入代替」の時代を通じて、YPFはアルゼンチン経済の再建において重要な役割を果たした。第二次世界大戦による亡命者を多く引き付けることで、従属主義の新マルクス主義者たちはアルゼンチンを戦後の世界で最も進んだ国の一つに位置づけるような経済構造へと導いた。原料輸出というモデルは、工業が決定的な役割を果たすモデルへと徐々に代替されていき、安定した労働条件と初歩的な社会保護システムを可能にするさらに堅調な成長モデルをもたらした。

軍事独裁と70~80年代の構造危機を経て、カルロス・メネムのアルゼンチン政府が民営化の責任者であったが、民営化プロセスの着想を与えたのはワシントン・コンセンサスの政策であった。民営化とともに、年金の民営化、労働条件を不安定化する労働市場改革などを伴う構造改革が実施され、2000年の深刻な危機が生じる原因となった。アルゼンチンはIMFとその調整政策に対して反抗し、さらには債務の帳消し-対外債務の一部の不払い-に着手して初めて、そうした状況を再び克服することが可能となった。

第四に、Repsolは正確に術語を使えばスペイン企業ではないし、スペイン全国民の所有物ではまったくないのだ。この多国籍企業の50パーセント以上は外国資本(42パーセントは外国投資ファンド-習慣的に大銀行が管理する-、9.5パーセントはメキシコ企業PEMEXに属している)が所有する。残りをスペインの個人資本グループSacyr (10パーセント)、Caixabank (12’83%)のようなスペインの金融機関やスペインの個人資本家が所有している。

第五に、Repsolがスペイン経済に与える利益は僅かだと言える。Repsolは世界中の全利益の25パーセントをスペインで申告し、2010年には実質26.8パーセント税率で9億4900万ユーロ(約1015億4300万円)を納税した。つまり、スペインの給与所得者の納税率に相当する30パーセントすら支払っていないということだ。Repsolは、アルゼンチンやリビアなど事業を行う国々では異なる税率で支払っているが、タックスヘイブンでも事業を有する。そして、その金融取引がスペインにおいて計上されていない可能性は非常に高い。

第六に、Repsolの成長と発展-アルゼンチンでのYPFの民営化に多くを負っている-は、この多国籍企業を形成する全ての人々にとって等しく利益となっているわけではない。1989~2007年の間に計上利益が11.97パーセント増加している一方で、従業員の平均給与は1.71パーセントしか増えていない。つまり、最大の受益者は個人株主-基本的には外国やスペインの大企業-であって、従業員ではなかったということだ。

第七に、Repsol-YPFは短期間で最大利益を追求する-それも株主にとって-私企業であるのだから、その企業的戦略が必ずアルゼンチン経済の発展に関する戦略と共同歩調を取るということはない。このことがまさにアルゼンチン政府が申し立てた理由の一つであり、そのためにこの起業を取り戻して発展の実質的な道具として用いることを望んでいるのだ。

結局、一つの経済現象として語り、適切な観点から分析するべきなのだ。二つの国の国益が対立しているのではなく、アルゼンチンの国益と様々な国籍を持つ私的な経済利益-その中には大きな割合ではないがスペインがいる-が対立しているのだ。だからこそ、この経済措置をスペインに対する攻撃とみなすのはごまかしである。評価額が低すぎる可能性はある-それは後々わかるだろう-ものの、これは合法的な買収である。そして、これは社会の他の部分と利益を分かち合わない経済主体-大企業や銀行-の利益に影響を与えるものだ。

これはスペイン人労働者の闘いではない。今後はアルゼンチン国家の所有となるYPFの運営がアルゼンチンの労働者に利益をもたらすか、それともYPFがアルゼンチンの寡頭支配者のための道具となるのかを見守ることにしよう。しかしながら、それは現在の私たちが頭を痛めるテーマではない。

スペイン政府がRepsolの資本を少々有するスペインの大企業の利益を擁護し、アルゼンチンのような主権国家の国益に対して偏見を持つということは、恥ずべきことである。ましてや政府がスペインの最も不利益を被っている人々に対して、さらなる危機の重荷を課すことになる削減政策を実行している最中に、これが起こったのであれば、なおのことだ。

PP国民党政府が与える心遣いと支援のレベルはポケットの大きさ次第。PPが今行わなければならないことは、最も豊かな人々の利益を護る代わりに、自らの経済政策を立て直して、アルゼンチンを真似て特定の政治的道具を取り戻す経済政策を行うという選択が良いかどうかを熟考することだ。こうした道具はスペイン人全体の役に立つべきであって、様々な金融市場-株式市場もその一つだ-で投機を行うことができる少数の大金持ちのためのものではないのだから。

2012.04.16 La nacionalización de YPF, filial de Repsol, por el gobierno de Argentina

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