冊子版チェのさすらい
冊子版チェのさすらい

というわけで、本を手に日本へ帰国。もちろん飛行機の中で読み終わるわけもなく、読了したのは帰国後しばらく経ってからでした。最後の部分を読んだのが帰宅する人々で込み合う電車の中だったので、涙をこらえるに必死だったことを思い出します。

チェ・ゲバラとドン・キホーテの物語の間に浮かび上がってくる、静かだけど熱いラモンのメッセージ。すっかり心を打たれて、何度か読み直しているうちに、テキストとしっかり向き合うために、翻訳しようと思いついたのが本格移住が迫った頃。

5月半ばに移住したものの、滞在許可証の関係ですぐには仕事を探せなかったこともあって、ゆっくり翻訳に取り組むことができました。ラジオチャンゴJPを発見し、翻訳に参加することにしたのも、ちょうどこの時期です。

いざ訳してみると、ラモンのメッセージがさらに近くに感じられて、これをもっとたくさんの人と分かち合いたいなという思いが大きくなりました。ここから、移住という大きな人生の節目の記念にもなるし、冊子にして身の回りの人に配るというアイデアが浮かびました。

結局200部ほど冊子を作り、夏の一時帰国時に配布。このときにラジオチャンゴJPの管理人nahokoさんと初対面して、彼女がMixiで管理するマヌ・チャオのコミュを通じて配布してもらうことになり、手元に残っていた50部ほどを託して日本を後にしました。

その後に就職した先で日本への出張が決まり、思いがけず再び一時帰国することに。nahokoさんから冊子の配布状況は聞いていたのですが、配布の際に呼びかけてくれたカンパの集まり具合を実際に目にして、本当にびっくりしました。だって、見ず知らずの人間が個人的な思い入れからやった翻訳を読みたいと思ってくれる人がいること、ましてやカンパで応えてくれるなんて想像もしていなかったのですから。この予想外の展開によって、ラジオチャンゴJPをやる意味を再確認することにもなりました。

というのも、やはり翻訳を公開するというのはちょっと勇気のいることなんです。絶対に誤訳は出て来るし、自分のスペイン語力が公の目にさらされるし。でも、日本語訳がなければ、こうしたテキストの中身はほとんどの日本人の目に触れないのだから、完璧ではない翻訳でもないよりはあった方がいいだろうと、半ば開き直った思いでラジオチャンゴJPに参加を決めたのですが、その決断が間違っていなかったと思わせてくれる出来事でした。

そのときに、彼女が紹介してくれたのが現ラバンデリアの店主で、ラジオチャンゴにも名を連ねるバルセロナのバンド、ラ・ペガティナが参加した反G8のコンピレーションアルバムを制作に関わっていました。そのCDと交換した冊子がその後トランジスター・プレスに届き、出版の計画が動きだすのです。

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