エルネスト・チェ・ゲバラ。このキューバ革命の英雄は、日本では主に歴史上の人物、つまり過去の人として語られますが、ラモン本の中では私たちに未来を示す存在として描かれています。このように、日本ではゲバラと呼ばれる人物は、スペイン語圏ではチェと呼ばれ、未来に繋がる人物として語られることがあるのです。死後40年以上も経つというのに、一部の人々の間ではまるで現存するリーダーのような存在感を保っているチェ。その理由はどこにあるのでしょう。

ラモンはこの著作の最後で読者に対して「自分の子供たちにチェの話をしてください」と語りかけます。ラモン自身が語るチェの物語で育った息子の一人でミュージシャンのマヌ・チャオの言葉から、未来への人物としてのチェの姿を探ってみたいと思います。

このインタビューは、マヌが2009年10月にチェへのオマージュのコンサートに参加するためにキューバを訪れた際に、同地の文化雑誌La Jiribillaラ・ヒリビジャが行ったものです。A4にして10枚を越えるロング・インタビューなので、何回かに分けてアップしていこうと思っています。今のところ毎週金曜日更新予定。どうぞ、お楽しみください!!

 

 

マヌ・チャオインタビュー「文化とは自由だ」

Yinett Polanco y R. A. Hernández • La Habana / Fotos: La Jiribilla

ラ・ヒリビジャ特別記事-チェに捧げるライブ

現在は、このまま資本主義の社会が続いていったら、地球が終わることに気がついている人ががたくさんいる。ますます多くの人が、日常生活を変えて、自然の法則にもっと適した方法で生活しようしているんだ。希望はそこにあるよ。

キューバという言葉は、人生を通じて彼から離れることはなかったにもかかわらず、マヌ・チャオが初めてキューバ島の土を踏んだのは、今から17年前Cargo Tour 92のツアーでのことだ。そのときは、カール・マルクス劇場に出演した。それからというもの、このフランス-スペイン国籍のミュージシャンは、定期的にこの島に戻ってくる。まるで彼にとっては必要不可欠なことみたいに。この島は、ジャーナリストで作家の父親ラモン・チャオが小さいときからいろいろな話を聞かせてくれた島であり、彼の最初の音楽のヒーローBola de Nieveボーラ・デ・ニエベの生まれ故郷であり、いつも彼の家にいた友人Alejo Carpentierアレホ・カルペンティエルの土地である。そしてなによりも、闘争の場において最も偉大なシンボルの一つel Cheエル・チェの土地なのだ。今年マヌ・チャオがキューバに戻ってきたのは、ハバナとサンタ・クララでライブを行って、ゲリラ戦士で革命のリーダーであるキューバ-アルゼンチン人へのオマージュを捧げるために他ならない。

1961年にパリで生まれたJosé-Manuel Thomas Arthur Chaoホセ-マヌエル・トマス・アルチュール・チャオは、フランス語・スペイン語圏で最も有名な進化し続けるミュージシャンの一人だ。この多作で多言語を操るシンガーソングライターは、大手のマスコミから離れたところで、現代の問題を受け止め、批判しながら音楽活動を行っている。社会的な懸念が詰まった歌詞と、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、アフリカからの様々なリズムの幅広いコンビネーションから生み出す音楽。Clandestino (1998)、Próxima estación esperanza (2001)、Radio Bemba Sound System (2002) 、Siberie m’etait contée (2004)、La radiolina (2007) y Baionarena (2009)といった広く知られた彼のアルバムは何百万枚という単位で売り上げている。

元Mano Negraマノ・ネグラで、2006年にハバナの反帝国主義競技場において誰もの記憶に残るライブを行ったRadio Bemba Sound Systemラジオ・ベンバ・サウンド・システムを数年前から率いるマヌ。彼のキャリアの中で最も良く知られているこの二つのバンドは、「ステージで最後まで最初と変わらぬパワーで演奏する二つのバンド」だ。彼は巨大なスタジアムでも、小さな箱での即興ライブでも同じように感情一杯に歌うが、プライベートの彼は素朴でむしろ内気だと言える。

そんなマヌの今回の旅に、ラ・ヒリビジャが二日間に渡って同行した。その合間の会話の中で、音楽についての思い、キューバで医学を学びたいという願い、不穏であると同時に熱い今の時代についての考え、そして「理想を求めながら」この道を進む彼に寄り添っている確信について語ってくれた。この道は、私たちに答えよりも問いの方を多く投げかけるのだが。「いつなんだろう?」「いつなんだろう?」「太陽はどこから顔を出すのだろう?」(つづく)

最後に引用されているのは、CLANDESTINO に収録されている「Luna y Sol」です。歌詞はこちらを参照ください。

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