LJ-君のキャラクターを特徴づけているものの一つが、ステージの上で発するエネルギーだよね…。

MC-若い頃は、観察する方の立場だったんだ。パーティを計画するのは友達で、僕は注目の的になるのが嫌でしょうがなかった。いつも一番暗い隅っこで回りを観ながら「どうか僕を踊らせようとする人がいませんように」って思っていた。今はどこに行っても誰もが僕を見る。もう慣れたけど、自分にとって自然なことではないんだ。だから、コンサートの前っていうのは、それがどこであっても、僕に重くのしかかってくるんだ。この感じはいつでも僕につきまとってる。今だってあんまりいい気持ちじゃないよ。緊張して不安でしょうがない。この状況をを変えるためだったら、世界中の黄金をあげたっていい。それで(コンサートをやらなくてすむのなら)今夜は河に釣りに行くことにするだろうね。ところが、その後でショーが始まって、自分がステージに上がる瞬間になると幸せを感じて、ショーの後は最高に幸せな気分になるんだよ。

ショーでいい思いをする分の代償を全部ショーの前に支払っているってことだよね。人 生においては全て収支が合うようになっている。こうしたことを受け止め、平静になってパワーを得るために、いろいろ努力しているよ。コンサートの一時間前に社交的に振舞うのは大変なことだけど、何度も自分に繰り返すんだ。「恥ずかしくても死なない」って。ショーの前に静かに通りを歩いてる僕を見た後で、ステージに上がった僕を見ても、僕だとわからない人がたくさんいるよ。「同じ人間じゃない」って言うんだ。もちろん同一人物だよ。だけど、異なる瞬間にいるんだ。ステージに踏み出す第一歩がアドレナリンに変わる。僕の持論は、ステージ上でのエネルギーは全て、ステージに上がる前に感じる恐怖から来ているっていうものなんだ。

LJ-歌を作るのは、好きになれないものを見たときに、君の 『怒り』を吐き出すためだって…。

MC-いつもそうだよ。個人的な小さなテラピーなんだ。気に入らないことを見たときに書くことが多いね。これがエゴイズムなのかどうかわからないけど、小さな幸せを感じている瞬間には書きたい気持ちにならない。その幸せを生きてそれで終わりさ。何か僕を不幸にするものや悔しい思いをさせるもの、例えばこの世界がどう動いているとか、そうしたことがあるとき、僕はそれを文章にして、外に吐き出す必要があるんだ。これは僕の人生において救命胴衣みたいなものなんだよ。

LJ-何かに心を動かされたときにも書く?

MC-うん。でも、改善の余地があるようなことに心を動かされたときに書くことが多いね。例えば愛に心を動かされたときよりも、不当なことを目にしたときだよ。僕にはラブ・ソングもあるけど、それは失われた愛の歌なんだ。「La Despedida(別れ)」は壊れた愛の歌で、書いたのはその女の子との別れから立ち直ったときなんだ。(歌が)喜びから出てくるのもいいことだよ。喜びを扱い、喜びを表現するアーティストもいて、僕たちもある意味では同じだ。歌詞ではないけど、音楽で喜びを扱っているからね。歌詞はもう少し悲しいもので、僕たちはこの二つを混ぜ合わせる。そこから、”malegría”マラグリア(mal不幸とalegria喜びを合わせた造語)が出てくるってわけさ。僕の歌の中にあるちょっと悲しい歌詞とそれを包む音楽の喜び。

LJ-ライブCD&DVDの Baioaneraバイオアネラが11月に発売の予定だけど、この発売後はどういう計画になっているの?

MC-僕たちはいつも短期の計画しか立てないんだ。今年については、11月にアルゼンチンとチリに行くことになってる。まもなくフランスのバイヨンヌでやったコンサートのライブCDが発売になるよ。バンドはとてもいい調子で、今一ヶ月のフランスツアーから戻ってき たところなんだ。9月の一ヶ月間は全力疾走だったよ。観客の盛り上がりは尋常じゃなかったし、僕たちが一致団結して演奏するこのバンドは友情に溢れてるし、もう何年も一緒にやってきたから強い結束力があるんだ。僕はとっても幸せさ。(つづく)

BaioaneraのDVDに収録されている映像から、マヌのパワーがよく表れている一曲ご紹介しておきます。

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