9月も終わりに近づいた頃、ラモンからバルセロナに寄ると連絡がありました。指定された待ち合わせ場所はゴシック地区のバル・エル・マリアッチ。マヌと深い関わりのあることで知られるバルですが、後でオーナーのファン・ルイスに聞いたところによると、最初に彼が知り合ったのはラモンの方だったとのこと。ちょっと意外でした。

「いやあ、今日は朝早くから起きて荷造りで大変だったよ。」というわりには、数時間の船旅を終えたばかりだというのに、全く疲れた様子もないラモン。バルで再会したときには、すでに9時を回っていたんですけどね。インタビューが掲載されたラティーナ(こちらを参照ください)の見本誌を渡すと「日本語は読めないけどきれいな雑誌だね~。」と至極満足気な顔つきでページをめくっていました。

ファン・ルイスもやってきて雑談をしていると、「ラモネがジャーナリズムの賞を受賞して(こちらを参照ください)、授賞式に付き添うことになったから、来月末もバルセロナに来るよ。その数日後にはマヌがコンサートをするから、ロンドンに行くんだ。」と嬉しそうなラモン。いくらヨーロッパ内だから近いといっても、話を聞くだけでも目の回りそうなスケジュールに「全然じっとしてないのね」と言うと、本当にびっくりしたような顔で「何のために? 何のために立ち止まる必要があるんだい?」。

*******

さて、再会から数週間が過ぎた10月中頃に届いたラモンからのメール。なんでも、バルセロナで行われる授賞式の翌日に、パリでゼネストが予定されているとのことで、パリに戻る飛行機が飛ばない可能性がある。どうしても翌日にパリに帰らなければならないので、授賞式への出席を断念するとのことでした。パリの様子はスペイ ンでも盛んに報道されていたので、もしかしたらと思っていたのですが、なんとも残念な結果になってしまいました。

ストなら仕方ないよなと思いつつ続きを読むと、「私は行かれないが、君は行ってきなさい。」という言葉に続いて、招待状を入手するための方法が載ったメールが転送されていました。ラモンもいないのに私が行 く??? 確かにこの前会ったとき、ラモネ氏を紹介してくれると言っていたけど、それとこれとはちょっと話が違うんじゃないの。州政府大統領や大臣までくるような受賞式に、ラモンなしで行ってどうするのと一瞬躊躇したものの、やっぱり好奇心には勝てません。

とりあえず行ってみて、もしチャンスがありそうだったら、話しかけてみようなんてのんきなことを考えていたら、ラモンから再び今度は私の心を見透かしたようなメールが。そこには「ラモネには君のことを話してあるから、必ず挨拶するように」という明解な指示が書かれていました。それもとってもわかりやすいスペイン語で。緊張して話しかけられなかったなんて言い訳、ラモンには通用しないだろうなと、一気に緊張が高まってきました。

いよいよ当日。少し早めに会場のパラウ・デ・ラ・ムジカへ。蓋を開けてみたら、用意されていたのはなんと受賞者友人席で、当のイグナシオ・ラモネ氏の斜め後ろ。これでは挨拶できなかったと言い訳できない。どのタイミングでなんと声をかけようか式の間中、気が気ではなかったのですが、式が終わり退席寸前になんとか声をかけることができました。「君がラモンの!」ととても気さくに応対してくれたものの、緊張で頭が真っ白になってスペイン語どころか言葉自体が出て来ない…。

さらには、彼の元には次から次へと人が挨拶に訪れるので、ほんの一言二言を交わしただけでも十分と、そこですっかり力が抜けて、その後に行われた祝賀会で近寄る気力はもう残ってませんでした。そのときは大満足で帰路についたのですが、後から考えてみるときいてみたかったことが次々と思い浮かぶんですよね。ラモンの「何のために立ち止まる必要があるんだ?」という言葉を思い出して、もうひと頑張りして突っ走れば良かったなと、ちょっと後悔の残る出来事でした。


世界遺産にも登録されているPalau de la Músicaパラウ・デ・ラ・ムシカは、モデルニスムを代表する建築家Lluis Domenéch i Muntanerルイス・ドメネク・イ・ムンタネルの代表作。この美しい音楽の宮殿を巡っては、管理団体の長が起こした着服事件を巡って一悶着あったのですが、スキャンダルに巻き込まれても美しさは変わりませんね。今回久々に訪れてしみじみ思いました。外装ももちろん素晴らしいですが、なんといっても内部の装飾が圧巻なので、もし訪れる機会があれば是非中に入ってみてください。ガイド付きのツアーもありますが、オススメはコンサート。現在もバルセロナを代表するコンサート会場として使われていて、クラシックからジャズ、ポップスまで幅広いジャンルのコンサートが行われています。こんなホールで音楽が楽しめるなんて素敵だと思いませんか!

*「ここまでの道のり」を初めから読みたい方はこちらからどうぞ!

一時帰国もあって12月は更新をお休みいたします。何かニュースがあれば更新するかもしれませんが、今のところ再開は1月7日を予定しています。

広告