6月15日にプッチ率いる州警察がデモ参加者に変装して暴力行為を誘発したと推測されているのは前々回の記事で触れた通りです。この説が信憑性を持って人々に受け止められたのは、プッチが強引な手に出てもおかしくないほど、追いつめられた状況にあったからです。

5月27日カタルーニャ広場の一件は、大きな波紋を巻き起こしていました。州警察350人と市民警察80〜100人が参加した清掃行為で、威嚇射撃236発、ゴム弾6発、薬莢12発が使用され、州警察側37人を含む計121人もの負傷者が出てしまったからです。

この「プッチの清掃」は、地方テレビ局TV3の政治風刺番組『Polonia(ポロニア)』でも多くのネタに使われています。

州政府大統領マスに広場清掃について報告していると清掃係が入ってきて…という内容。そして、もう一つのバージョン。

こちらは王宮で王子夫妻が抗議キャンプを始め、持て余した国王がプッチに電話。最後の「カタルーニャ風清掃サービスが大好きだ」という国王の台詞が効いてます。

この『ポロニア』は政治家の物まねで時事問題を皮肉たっぷりに風刺する番組です。ちなみに、ポロニアという番組名もスペイン語話者に理解できないカタルーニャ語を話す人のことを侮蔑的にPolacoポラコ(ポーランド人)と呼んだところから来ているとか。

とこんな感じで、この一件は風化するどころか、プッチの責任を問う声は日増しに大きくなっていきました。さらには、プッチの清掃は負傷者を出したことの他に、もう一つ大きな問題を抱えていました。それはこの作戦に参加した警察官が識別番号を付けていなかったことです。

というのも、スペインではすべてのスペイン国民に反騒乱の任務につく警察官の身元を知る権利があると定められているからです。これは2007年に内務大臣が 下した指示を受けて、2008年11月に州政府が法令として公示したもので、これによるとすべての警察官は見える場所に識別番号を付けることが義務づけられています。これは、不当な扱いを受けた市民が後で訴えることができるようにするための措置です。

(写真はEleconomista.esより)

ところが、ご覧の通りカタルーニャ広場に介入した州警察官は誰一人として識別番号を付けていません。州内務省は警察官は防護服を着用するように命令があったために、それに隠れて識別番号が見えなくなったと説明しましたが、識別番号が見えない時点で違法ということは明白な事実でした。

こうして、6月8日にプッチはカタルーニャ広場の一見を説明するために、カタルーニャ州議会に出廷することになったのです。

(写真はEl Paísより)

彼は「あの出来事は暴力を用いて抵抗した『怒れる人々』に責任がある」として抗議参加者たちを非難、警察の行為を正当化します。そして、この一件の責任は自分にはないとして、ICV(カタルーニャ緑の党)-EUiA(カタルーニャ左派連合)の辞任要求を退けました。そのの釈明をまとめると…

  • 抗議に集まった人々の参加者の攻撃性や抵抗のレベルが十分に評価されていない。(つまり、彼らは一般に知られているよりもずっと暴力的だったとうこと)
  • (警察側の)最初の攻撃の前に、非常線を張る警官隊や清掃班に対する『襲撃、突き飛ばし、侮蔑行為があった』。
  • この作戦は、州内務省と市民警察が協力して行ったもので、『一機関(州内務省のこと)が権限を握っていた』のではない。(ちなみにカタルーニャには、国の管轄にあるPolicia Nacional国家警察、州の管轄にあるMossos d’Esquadra州警察、市の管轄にあるGuardias urbanos市民警察の合計3つの警察組織があります。)

プッチが警察官に対する襲撃の映像を証拠として提出すると噂されていたのですが、蓋を開けてみるとプッチは「私は映像合戦はしたくはない」と語り、結局抗議参加者側の暴力行為を示す証拠の提示を拒みました。これに対して、作戦行動中6時間半に渡って州警察のヘリコプターが旋回していたのに、証拠映像が一つもないというのはおかしいと批判されています。

このちょうど一週間後に起こったのが6月15日のデモ参加者による暴動騒ぎというわけで、暴動騒ぎで一番得をするのは誰か…とみなが考えたのでした。

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