10月15日。予定時刻の5時を少し過ぎた頃にカタルーニャ広場に到着すると、広場周辺の通りは閉鎖されデモ参加者がすでに通りを埋め尽くしていました。

人が集まり過ぎて、デモの先頭はすでに予定ルートのグラシア大通りを少し上ったところまで前進しています。

今回は参加人数を実感するために、この出発地点に腰を据えて、デモ参加者が広場を出発するのを観察することにしました。予定時刻を30分ほど過ぎた頃からデモの先頭が動き始め、広場を出発する人、人、人。

結局すべてのデモ参加者が広場を後にしたときにはすでに7時を回っていて、先頭が出発してからゆうに1時間半あまりが経過していました。その後カタルーニャ広場-グラシア大通り-アラゴン通り-サン・ジョアン大通りというルートを通り凱旋門に到着。そこからは、三手に分かれ医療、教育、住居という具体的な権利を主張するデモを続けました。

翌日の新聞によると参加者数は主催者側35万人、警察側6万人と発表。相変わらず大きな開きのある数字ですが、6月のデモ参加者10万人は軽く越えていたようです。

それから5日後の10月19日に、イグナシオ・ラモネがバルセロナで講演を行うという情報が入ってきました。

Set utopies per a un món millor(より良い世界のための7つのユートピア)」

およそ30年間に渡って、資本と市場は人類の歴史と幸福を作るのは人々ではなく、彼らだと繰り返してきた。今こそ、世界的な問題は経済だけでないことを思い出さなければならない。環境保護、発展支援、社会正義の必要性、人権問題への懸念といったものもまた、世界的なテーマなのだ…。

そもそも、私がDRYによる15-Mの呼びかけに並々ならぬ興味持ったのは、「真の民主主義を今すぐに!」というスローガンに、その一ヶ月ほど前に聞いたラモネの講演の内容を思い出したからでした。「Medios de comunicación y poder(マスコミと権力)」と題された講演会は、最新作「LA EXPLOSION DEL PERIODISMO(ジャーナリズムの爆発)」を先取りする非常に興味深い内容。

その中でとりわけ印象に残ったのが、「マスメディアの危機がそのまま民主主義の危機だ」というラモネの言葉でした。簡単にまとめると「民主主義の基礎である立法、行政、司法の三権分立が時間の経過とともに機能不全に陥ったため、バランスを取り戻すための重石として誕生したのが第四の権力マスメディアである。そのマスメディアが権力側に取り込まれている現在、民主主義が再び機能不全に陥っている」というのです。一方で、DRYのスローガンも現在の民主主義のあり方を問題にしているのは明らかでした。この不思議な一致がどうしても気になって、5月15日半信半疑でカタルーニャ広場に向かったのです。

ということもあって、私はイグナシオ・ラモネが15-M運動について、どう考えているのかずっと気になっていました。もちろん彼は、主幹を務めるル・モンド・ディプロマティクのスペイン語版の社説で、早い段階から15-Mの運動に対する共感を表明していました。でも、私はもう一歩踏み込んだこと、この運動の未来に関する彼の考えが知りたかったのです。

ウォール街の占拠が話題になっていますが、結局のところ占拠やデモなどの抗議行動は主張をアピールするための手段の一つに過ぎません。そこからどう前に進んでいくか、そこからどう現実を変えていくかということが、実は一番の問題なのです。「君たちが現状に不満なことはわかった。で、一体君たちはどうするつもりなんだい?」これが、中心のない15-Mの運動に常に付きまとっている批判で、半年以上運動が継続しているスペインでは、日増しに切実な問題になってきています。どこへ向かえばいいのか? そして次のステップは?

この質問をぶつける相手として、個人的にはラモネが最も相応しい人物だと思っていました。もちろん、この動きに共感を表明している著名な知識人はたくさんいますが、ラモネが他の人々と一線を画しているのは、ジャーナリストとしてペンで闘う一方で自らが先頭に立って新自由主義との闘いを組織してきたということ。15-Mの特徴である、政治と一定の距離を置いた自主的に組織された中心のない市民の運動というのは、まさに10年以上前にアンチ・グローバリゼーション運動(以下AG運動)が目指していたものなのですから。

さらに、15-Oによって15-M運動は抗議活動を世界規模に拡大するという大きな目標を達成しました。つまり、それは15-Mの運動が次のステージに入ることを意味しています。この状況の中でますます気になってくるのが、ATTACや世界社会フォーラムを立ち上げ、AG運動を先導する役割を担った人物が、AG運動の先に見ていたものは何だったのかということ。それを知る手がかりが彼の話の中にあるかもしれないと、わくわくして会場に向かいました。

15-MがかつてのAG運動に匹敵するうねりに発展したこのタイミングで、AG運動を象徴するラモネの考えを聞きたいと思ったのは私だけではないようで、会場は立ち見が出るほどの大盛況。というもものの、講演自体では15-Mの運動に直接言及する場面はそれほど多くはありませんでした。ところが、その後の質疑応答、時間ギリギリで確信をつく質問が飛び出したのです。

最後の質問に立ったのは、15-Mの活動に一日目から参加していると自己紹介した若い男性。彼は講演の内容についての雑感を述べた後で、15-Mの運動の今後についてコメントを求めました。それに対して、ラモネはこれから運動が進むべき方向を、強い確信を持って示したのですが、その内容については公演内容をざっとおさらいする必要があるので、次回以降の記事でご紹介したいと思います。

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