昨日はユーロが対円で100円を切ったといニュースが日本をかけめぐったようです。10年6ヶ月ぶりの円高ユーロ安とのことで、言ってみればユーロ通貨導入前の水準ということ。2012年1月1日にユーロ通貨導入から丸10年を迎えるとあって、ユーロ通貨の導入に対する総括が始まっています。

今週の火曜日に消費者団体OCUが『10 años del euro: precios que suben y no bajanユーロの10年ー上昇し下降することのない価格)』と題された報告書を発表しました。ユーロ導入後の物価変動を調査したものです。果たしてユーロ通貨はスペイン人を幸福にしたのでしょうか。その結果は…

  • 食料品 48パーセント上昇
2001〜2011年の食料品の物価上昇は、パン49パーセント、卵114パーセント、牛乳48パーセント、米45パーセント、オリーブ油33パーセント、牛肉36パーセント、豚肉26パーセント、じゃがいも116パーセントと基本的な食料品が軒並み値上がりしています。それを受けて、一般家庭の平均年間支出が2001年4月の 765.378 ペセタ (4.600ユーロ)から、2011年5月の 6.800 ユーロへと48パーセントも上昇しています。
この物価上昇に関しては、パンがペセタで支払いをしていた2001年9月と比べると85パーセントの値上がりとコメントされているように、ペセタからユーロへの通貨切り替えの際の便乗値上げの影響もあります。1ユーロは166ペセタに相当するので、例えば100ペセタのカフェは0,6ユーロ、つまり60センティモになるところが、1ユーロに切り上げられるということがあったのです。
  • 住宅 66パーセント上昇
  • 交通機関 45〜68パーセント上昇(電車45パーセント、バス48パーセント、地下鉄など58パーセント、ガソリン82パーセント)
  • 唯一値下がりしたのが電化製品(テレビ、音楽プレイヤー、DVDプレイヤー62パーセント、ビデオカメラ、DVDレコーダー6パーセント、カメラ72パーセント、家電4パーセント)
  • 一方で、給与の上昇は14パーセント未満(税込み平均年収は2002年の 19.802ユーロから2009年の22.511ユーロへ)

このグラフの青が平均給与で赤がIPC(物価指数)です。IPCはインフレと生活費の上昇を反映したものとなっているはずなのですが、2002〜2012年のIPCの上昇率は32パーセントとされおり、OCUの調査結果とはかけ離れた数値となっています。この理由について、住宅価格を調査に含んでいないのが原因の一つだと報告書は指摘しています。

また、給与は毎年物価指数IPCに応じて見直されることになっているのですが、ご覧のようにこの二つの数値の上昇率は一致していません。もし一致していれば、2009年の時点で平均年収は今よりも3.600ユーロ高いものになっていたはずだとか。

この報告書は『私たちはあなたにデータを提供します。計算が妥当なものかどうか、あとはあなたが決めてください』という太字のメッセージでしめくくられています。

このように、ユーロ導入がスペイン人にもたらしたものは急激な物価上昇。給与がそれに見合う上昇を遂げなかったために、懐は貧しくなるばかり…と恩恵を被ったといは言いがたいのが現状なのです。ユーロの信用を回復するために緊縮政策が課され、失業率も物価も上昇の一途。その一方で、ユーロを維持するために国が市場に大量の資金を投入し、さらに債務を増やしていく…。果たして、ユーロを守るべきなのか。ユーロの存続を決めるのは市場ではなく、ユーロ圏に暮らす人々であるべきなのではないでしょうか。

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