マリアノ・ラホイ率いるPP国民党が政権を取ってから2ヶ月あまり。ついに、新政権に対する抗議活動がスペイン全土に広がりました。2月19日日曜日に57都市で150万人を動員した今回のデモは、2010年9月29日のゼネストを越える近年最大規模だとか(『La ciudadanía abarrota las calles contra la reforma laboral』参照)。

NO a la reforma laboral !(労働法改正にNO!)』というスローガンで、今回のデモを呼びかけたのはCCOO労働者委員会連合UGT労働総同盟というスペインの二大労働組合。CCOOの発表で40万人が参加したというバルセロナのデモ(内務省によると3万人)には、彼らを先頭に左派政党(PSCカタルーニャ社会労働党、 ERCカタルーニャ共和主義左派、ICV y EUiAと緑の党-左派連合)、CGTスペイン労働総同盟、15-Mの流れを汲む組織…と、前回1月28日のデモに続いて多様な組織を広範に取り込むデモとなりました。

カタルーニャCCOO公式サイトより)

今回の大規模デモのきっかけとなったのは、2月10日に可決された労働法の改正案でした。『解雇の値下げ』と呼ばれた今回の法改正の主な点をご紹介します。

中小企業向けの解雇が自由な新契約形態

従業員数50人に満たない企業は、1年の試験期間付の期限なし契約を結ぶことが可能となる。16歳から30歳の長期失業者に対してこの契約を行うと、年間最大1300ユーロを受け取ることになる。また、3ヶ月間失業保険を受給していた失業者を雇用した場合、企業ぶは50パーセントの控除が適用される。控除のパーセンテージは、雇用された者が受給予定であった残りの失業保険の金額に対してのものとなる。

給与を下げるための労働協約への攻撃

継続する二つの4半期(6ヶ月)に渡って『収益もしくは売上げ』に継続的な減少が見られた場合に、企業側は労働協約で合意した給与、就業時間、労働日数について変更 を提案することができる。合意がなされない場合には、外部の調停機関によって解決されることになる(第14条)。改正法第12条によって、調停に訴える必要なしでもこうした変更が可能になる。企業は『競争力や生産性または、企業内の技術的な組織編成や業務内容といった理由によって』、給与、就業時間、労働日数を変更することができる。その一方で、団体協約は効力を失ってから2年が経過すると、効果を失うこととなる。新たな協約が結ばれるまで古い協約の効力を延長させてきた、いわゆる超法規効力が消滅することになる。

客観的解雇が拡大 – 33日分の補償金でさようなら

企業が継続する二つの4半期(6ヶ月)に渡って『収益もしくは売上げ』に継続的な減少を示した場合、(期限なし契約の場合20日×勤務年数の補償金によって)解雇は客観性のあるものとされる。新しい無期限契約は全て、解雇が不当とされた場合も33日間、24ヶ月分の補償金が最大となる。すでに期限なし契約を有する者は、二つの期間に分けて計算され、改正法が発行する2月11日までは一年あたり45日、その日付以降は一年あたり33日で補償金の計算が行われる。

自由な団体解雇

企業は行政機関の同意を得る必要なしに生産雇用調整(ERE)を申請することができる。しかしながら、省は申し立てられた生産雇用調整のうち98パーセントを承認していた現状では、この制限はすでに有名無実となっていた。

(Diagonal紙「Cosas que la reforma laboral no te dejará hacer」参照)

失業率が20パーセントを越えるスペインにおいて、新政府が最優先で取り組まなければならないのが失業対策です。そこで「雇用を創出するため」という理由で今回の労働法改正が行われたのですが、蓋を開けてみたらその内容は雇用を創出するどころか、解雇を促進するものとなっていました。すでに、この改正によって現在530万人の失業者が600万人まで増加するという試算もされています。また、それ以外の点も雇用者側にとって有利で、労働者側にとって不利な改正であるのも明らかです。

この抗議を受けても、現在のところラホイ首相は「この労働法改正は、スペインにとって正しく、必要で、良いものである」という主張を変えていません。スペインの人々の抗議活動はまだまだ続きそうです。

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