月曜日4月15日アルゼンチンのフェルナンデス大統領がRepsolの子会社である石油会社YPFの株の51パーセントを取得すると発表。それを受けて、スペイン政府はその夜緊急会見を行いました。

会見に姿を現したのはラホイ首相ではなく、ソリア産業相とガルシア=マルガリョ外相の2人。産業相は「アルゼンチン政府の決定はRepsol、つまりスペイン企業、つまりスペインとスペイン政府に対する敵対的な決定である」、外相は「この決定はアルゼンチンとスペインの和気藹々とした友好関係を破壊するものだ」「スペインにとっても、アルゼンチンにとっても最悪の決定であり、ビジネスの分野を制御するべき司法システムにとって最悪のニュースである」と、アルゼンチン政府の行動を厳しく批判し、スペイン政府は数日間のうちにしかるべき措置を取ると語りました。

しかしながら、環境保護団体やIU連合左派はアルゼンチンの決定に理解を示めしています。15-M運動を経てIUの国会議員となった経済学者Alberto Garzónアルベルト・ガルソンがブログに書いた記事に、その理由が簡潔にまとめられていたので、ここでご紹介します。

アルゼンチン政府によるRepsolの子会社YPFの国有化

クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル大統領率いるアルゼンチン政府は、数日前から噂されていたことを是認して、多国籍企業Repsolの子会社YPF社の国有化を発表した。この投稿では、この問題について私たちが今までに発表してきた情報の中から特に重要なものを集めてみた。

第一に、この措置自体に関していくつかのことを明白にしておきたい。というもの、現在のところ情報が漠然としているからだ。詳細を明確にすることなく、「接収(expropiación)」「国有化(nacionalización)」「買収(compra)」と呼ばれている。こうした定義は重要であって、概念を伴うものでなければならない。しかしながら、現在までに入手できる情報によると、事実上はアルゼンチン政府による「国有化」-つまり、今のところその価格は示されていないが、対価が支払われる-ということである。そして、双方の意志による決定ではなく、一方的なものであり、買取価格は指定されていない。

第二に、YPFは多国籍企業Repsolが100パーセント所有する機関ではない。実際のところ、RepsolがYPFの約57パーセントを支配することで最大株主となり、支配権と経営権を有しているが、YPFが行うビジネスの利益を全て得ているわけではない。残りはアルゼンチンの個人資本家や(アルゼンチンや外国資本が有する)流動資本が所有している。

第三に、その歴史が重要だ。YPFは1922年にアルゼンチン国家が設立し、いわゆる調整政策の枠組みにおいて国際機関-とりわけIMF(国際通貨基金)-が後援する民営化プロセスが開始する1992年までは国家名義であった。YPFはRepsol -かつてスペインの公営企業であった-が大部分の株を取得した1999年に民営化を完了した。

1930年代に始まった「輸入代替」の時代を通じて、YPFはアルゼンチン経済の再建において重要な役割を果たした。第二次世界大戦による亡命者を多く引き付けることで、従属主義の新マルクス主義者たちはアルゼンチンを戦後の世界で最も進んだ国の一つに位置づけるような経済構造へと導いた。原料輸出というモデルは、工業が決定的な役割を果たすモデルへと徐々に代替されていき、安定した労働条件と初歩的な社会保護システムを可能にするさらに堅調な成長モデルをもたらした。

軍事独裁と70~80年代の構造危機を経て、カルロス・メネムのアルゼンチン政府が民営化の責任者であったが、民営化プロセスの着想を与えたのはワシントン・コンセンサスの政策であった。民営化とともに、年金の民営化、労働条件を不安定化する労働市場改革などを伴う構造改革が実施され、2000年の深刻な危機が生じる原因となった。アルゼンチンはIMFとその調整政策に対して反抗し、さらには債務の帳消し-対外債務の一部の不払い-に着手して初めて、そうした状況を再び克服することが可能となった。

第四に、Repsolは正確に術語を使えばスペイン企業ではないし、スペイン全国民の所有物ではまったくないのだ。この多国籍企業の50パーセント以上は外国資本(42パーセントは外国投資ファンド-習慣的に大銀行が管理する-、9.5パーセントはメキシコ企業PEMEXに属している)が所有する。残りをスペインの個人資本グループSacyr (10パーセント)、Caixabank (12’83%)のようなスペインの金融機関やスペインの個人資本家が所有している。

第五に、Repsolがスペイン経済に与える利益は僅かだと言える。Repsolは世界中の全利益の25パーセントをスペインで申告し、2010年には実質26.8パーセント税率で9億4900万ユーロ(約1015億4300万円)を納税した。つまり、スペインの給与所得者の納税率に相当する30パーセントすら支払っていないということだ。Repsolは、アルゼンチンやリビアなど事業を行う国々では異なる税率で支払っているが、タックスヘイブンでも事業を有する。そして、その金融取引がスペインにおいて計上されていない可能性は非常に高い。

第六に、Repsolの成長と発展-アルゼンチンでのYPFの民営化に多くを負っている-は、この多国籍企業を形成する全ての人々にとって等しく利益となっているわけではない。1989~2007年の間に計上利益が11.97パーセント増加している一方で、従業員の平均給与は1.71パーセントしか増えていない。つまり、最大の受益者は個人株主-基本的には外国やスペインの大企業-であって、従業員ではなかったということだ。

第七に、Repsol-YPFは短期間で最大利益を追求する-それも株主にとって-私企業であるのだから、その企業的戦略が必ずアルゼンチン経済の発展に関する戦略と共同歩調を取るということはない。このことがまさにアルゼンチン政府が申し立てた理由の一つであり、そのためにこの起業を取り戻して発展の実質的な道具として用いることを望んでいるのだ。

結局、一つの経済現象として語り、適切な観点から分析するべきなのだ。二つの国の国益が対立しているのではなく、アルゼンチンの国益と様々な国籍を持つ私的な経済利益-その中には大きな割合ではないがスペインがいる-が対立しているのだ。だからこそ、この経済措置をスペインに対する攻撃とみなすのはごまかしである。評価額が低すぎる可能性はある-それは後々わかるだろう-ものの、これは合法的な買収である。そして、これは社会の他の部分と利益を分かち合わない経済主体-大企業や銀行-の利益に影響を与えるものだ。

これはスペイン人労働者の闘いではない。今後はアルゼンチン国家の所有となるYPFの運営がアルゼンチンの労働者に利益をもたらすか、それともYPFがアルゼンチンの寡頭支配者のための道具となるのかを見守ることにしよう。しかしながら、それは現在の私たちが頭を痛めるテーマではない。

スペイン政府がRepsolの資本を少々有するスペインの大企業の利益を擁護し、アルゼンチンのような主権国家の国益に対して偏見を持つということは、恥ずべきことである。ましてや政府がスペインの最も不利益を被っている人々に対して、さらなる危機の重荷を課すことになる削減政策を実行している最中に、これが起こったのであれば、なおのことだ。

PP国民党政府が与える心遣いと支援のレベルはポケットの大きさ次第。PPが今行わなければならないことは、最も豊かな人々の利益を護る代わりに、自らの経済政策を立て直して、アルゼンチンを真似て特定の政治的道具を取り戻す経済政策を行うという選択が良いかどうかを熟考することだ。こうした道具はスペイン人全体の役に立つべきであって、様々な金融市場-株式市場もその一つだ-で投機を行うことができる少数の大金持ちのためのものではないのだから。

2012.04.16 La nacionalización de YPF, filial de Repsol, por el gobierno de Argentina

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