スペインを救援  

パパ、何のために僕たちを救援するの?-彼ら自身のためだよ(USTEAより)

土曜日6月9日夕方に経済相デ・ギンドスが緊急会見を行い、銀行システムの健全化のために欧州共同体から融資を受けることを発表しました。その金額は最大1000億ユーロ(約10兆円)と、なんとスペインの国民総生産の約一割に相当するそうです。

スペインに対する「Rescate救援プラン」発動の噂が飛び交う中、当日の午前中も産業相ソリアが支援の要請の可能性を否定する発言をしており、政府は直前まで噂の火消しに必死でした。ところが、政府はユーログループ(ユーロ圏財務相会議)の緊急電話会議 を経て態度を一転、EUから支援を受けることが決まったと発表したわけです。

翌10日に会見を行ったラホイの説明によると、これはあくまでも融資に関する合意だということ。融資を必要としているスペインの銀行に融資するための貸付けで、返済をしなければならないのは銀行であるため、市民生活に影響を与えるような削減を実施する予定はないことを強調しました。しかし、ユーログループの声明文には、欧州委員会が消費税の値上げ、年金受給開始年齢の先送りなど削減を進めるようにスペイン政府に義務づける可能性が示唆されています。

融資を受ける金額は、IMFと独立した2つ国際監査法人の報告書が提出される二週間後に 決定することになっています。この資金は政府が直接受け取り、FROB(銀行再建基金)を通じて 金融機関に投入。この時点でFROBは欧州中央銀行とIMFの管理下に入ることになるということなので、やはりトロイカ(欧州委員会、欧州中央銀行、IMF)からの圧力は避けられないようです。

また、この貸付けは公的債務に算入されます。もちろん返済義務は銀行にありますが、銀行が返済できなければ、 政府が保証人としてその利息の支払いに対処しなければならなりません。つまり、 最終的にはスペイン国民一人一人が負担することになるのです。

デ・ギンドスもラホイも「これは救援プランではない」と繰り返しているので、アイルランド、ギリシャ、ポルトガルが課された条件を見てみましょう。(救援プランについてはこちらの記事も参考にしてください)

ギリシャ―年金額の引き下げ、公務員の解雇と給与引き下げなどの削減措置と国の状況を外部組織が監視する

アイルランド―2014年に赤字を3パーセントまで下げる。今年中に42億ユーロを節約して、2万3500人の公務員を解雇。消費税を上げて、最低賃金を下げる

ポルトガルー公企業や公的サービスの民営化、賃金や年金額の据え置き、税金を上げるなどが必要となる厳しい節約計画を実施する

具体的な目標を課せられた三か国のときと状況は違うようですが、実質的に救援プランと違うかどうかは、しばらく様子を見てからでないと判断できそうもありません。銀行を救うためだけに使われる新たな借金によって、国の借金がさらに増えるのは事実ですから、直接緊縮策を押し付けられなかったとしても、借金返済に回すため自主的に他の予算を削減をしなければならなくなるのは明らかですから。

今回の経緯を見ていてわかったのは、実は「救援プラン」というのは困難な状況にある国家を救うためではなく、統一通貨ユーロを救うためのプランであるということ。救援された国家はさらに借金漬けとなり、さらなる苦境に陥るのですから、救援された国の利益にはなりません。

つまり、今回の救援の真の目的はスペインの銀行システムを救援することで、ユーロ圏の金融システムを存続させることでした。それゆえに、スペイン政府も最後まで抵抗したのですが、結局ユーログループからの圧力で支援の要請を強いられることになったというわけです。

会見でラホイは「支援要請はバンキア危機以前から準備していたもので、私がユーロ圏に働きかけて実現した」と語りましたが、それを信じる者はいません。

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