関連部門を含めて20万人以上が影響を受けると言われる2億ユーロの補助金削減の決定を受けて、スペイン北部アストゥリアの10人炭鉱労働者が無期限の立てこもりを始めたのが5月28日のこと。その後30日に組合が無期限ストを宣言し、ここから彼らの長い戦いが始まりました。

そして、6月末アストゥリアとレオンなどから約300人の鉱夫が首都マドリッドを目指して行進を始めました。彼らの目的は7月11月にマドリッドで大規模な抗議活動を行うこと。この「Marcha Negra(黒い行進)」は18日間かけて400キロ以上を徒歩で進み、7月10日火曜日にマドリッドに到着しました。

彼らが歩いてきたルートはこちら。

El País紙より)

今夜は、プエルタ・デル・ソル広場で作業着に身を包んだ鉱夫達がヘルメットのライトに明かりを点して抗議を行っています。

20 minutos紙より)

こうして 炭鉱労働者たちが自分たちの生活を守るために、夏の太陽が照りつける中行進を続けていたとき、大規模な投機計画が実行に移されていました。その後ろにいるのは、世界最大の投資銀行ゴールドマン・サックスです。Publico紙の記事によると、彼らはアストゥリアのヒホンの港にコロンビア産石炭15万6300トンを貯蔵しており、現在輸送中のものも合せると最終的には60万トンになるそうです(ゴールドマン・サックスとコロンビアの石炭についてはこんな記事がありました)。その目的は、ヨーロッパの先物取り引き市場。

というのも、昨日時点で欧州市場の石炭は1トンあたり89.40ドルですが、先物市場では1ヶ月90ドル、2ヶ月90.25ドル、3ヶ月91.85ドル、さらに1年では97ドルと値上がり傾向にあるのが明らか。そこで、彼らは1トン現在61.35ドル、1年72.6ドルという石炭価格の安いラテンアメリカから、大量に欧州に運び込んできたというわけです。差額を考えると、彼らにとって非常に旨味のあるビジネスであることがわかります。

補助金の削減でスペインの鉱山の生産量が減れば、欧州での価格がさらに上昇ということもありえるわけで、そうなると彼らの儲けはさらに拡大…。懸命に抗議活動を行う炭坑労働者のお膝元で、さすがにこれはひどいだろうということで、今後の石炭の積み降ろしについての許可は棚上げになっています。

補助金の削減は支出の削減のためというのがスペイン政府の言い分です。しかし、支出削減の圧力をかけてきているトロイカの一つ欧州中央銀行の総裁マリオ・ドラギがゴールドマン・サックス出身であることを考えると、そう単純な話ではないような気がしてきますね。

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