今回のSATの一件で一躍と時の人となった感のあるJuan Manuel Sánchez Gordilloフアン・マヌエル・サンチェス・ゴルディリョですが、彼は以前からアンダルシアの農村Marinaledaマリナレダの村長として有名な人物でした。私が彼のことを知ったのは『チェのさすらい』を訳していた頃。ゲバラ関連の情報を集めていて、ゲバラを敬愛するコミュニスタサンチェス・ゴルディリョとマリナレダに辿りついたのです。

Marinaleda tiene un 0% de tasa de paro.

マリナレダはセビリア県にある人口2700人あまりの小さな村ですが、1979年から村長を務めるゴルディリョが中心となって、村民の支援と協力の下で「平等」と「共有財産」というコミュニズムのイデオロギーに基づく村造りを行ってきました。そして、スペイン全土が経済危機と25パーセントを突破した失業率に苦しむ中で、このマリナレダは「失業率0パーセントで、経済危機とは無縁の村」として注目を集めています。その特徴を簡単にまとめると…

仕事ー誰もが月収1200ユーロ

住民の大部分が自らの手で設立した協同組合Cooperativa Humar – Marinaleda S.C.Aで働いています。この組合が所有する約1300ヘクタールの農地は元々インファンタダ公爵の所有下にありましたが、失業を貧困の問題を解決するには土地が不可欠として、村民が9キロの道を歩いて通い占拠を開始。市民警察の手で何度も強制排除されながらも、12年に及ぶ長い闘いの末、勝ち取った土地。この「共同体の所有地」でそら豆、アーティチョーク、赤ピーマン、油用のオリーブなどを栽培していますが、環境への配慮から完全エコ農業を実践しているそう。また、加工工場も併設されていてい、そこでオリーブオイルなど農業加工品の製造も行っています。仕事内容に関係なく、日給47ユーロ、週35時間労働で月収は1,128ユーロ。村内で小売業など組合以外の仕事を行う人の給与もほぼ同じで、月収1,200ユーロほど、村長も例外ではないとか。

住居ー90平方メートルの住居+100平方メートルの中庭が月15ユーロ

住宅用地は全て村の所有下にあり、家が欲しい人には、作業に参加することを条件に、村が土地、資材、職人を提供します。こうして90平方メートルの住居+100平方メートルの広さの二階建ての家が出来上がると、そこに住みながら未払いになっている建築費用を15ユーロずつ返していく仕組み。完済後はマイホームとして個人資産なり、子供などに譲ることもできますが、投機を防ぐためにこれを現金化することは禁止されています。

教育―給食付きで月15ユーロ

村には保育園から、小学校、高等学校まであって、学費は食事付きで月15ユーロ。ただ、住居や仕事が保障されているために、学業を途中で放棄する若者の数が多いのが、これからの課題だとか。

政治参加ー議会を通じた直接民主主義の実践

村に関する決定権は村民にあります。例えば、村の予算の決定する場合、村長ゴルディリョが予算案を持って各地域の議会で説明し、話し合いを経て優先順位を決めていきます。ちなみに予算案の単位はユーロではなくて、昔の通貨単位のペセタ表記。この方が村人が金額の規模を実感し易いからだそう。

その他にも、警察はなく、村民から徴収する税金も周辺村で最も低い税率だとか。それでいて、サッカー場など村営のスポーツ施設の利用料は無料。

(Publico紙『La economía según Sánchez Gordillo』参照)

『赤いマリナレダ』においては20世紀初頭に花開いた左派の思想が、市民戦争、フランコの独裁、自由化へ移行期、EUへの参加、共産主義の代名詞であったソ連の解体といった歴史の荒波を乗り越えて、21世紀の経済危機までも生き延びようとしています。アンダルシアにぽかりと浮かぶ25キロ平方メートルコミュニズムの島が、スペインの社会が危機を乗り越えて目指すべき「もう一つの世界」を考えるヒントになるのかもしれません。

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