二日後に控えたベネズエラの選挙を巡ってマスコミの偏向報道が過熱していることを受けて、昨日10月5日イグナシオ・ラモネ氏とフランスの左翼党の共同党首メランション氏が、現状を告発する共同の記事をスペイン語メディアに発表しました。

この状況を日本の人々にも伝えたいというラモネ氏の意向を受けて、その記事の翻訳を行いました。以下がその記事の全訳です。反チャベスキャンペーンの顔である対立候補については、今回の選挙に関するラモネ氏のル・モンド・ディプロマティク社説を参照ください。

どうしてチャベスは?

ジャン=リュック・メランション(左翼党共同党首、欧州議員)

イグナシオ・ラモネ(Mémoire des luttes代表、ATTAC名誉代表)

 ウーゴ ・チャベスは確実に、世界で最も誹謗中傷されている国家元首だ。10月7日大統領選が近づくに連れ、そうした誹謗中傷はますます目も当てられないものになっている。カラカスだけでなく、フランスや他の国々においても。チャベス再選という見通し(アンケートによると確実なようだ)を前に、自暴自棄になったボリバル革命に反対する者たちが実証している。

政治的指導者は行動で評価されるべきであって、彼への反対に誘導された噂で評価されるべきではない。候補者は選出されるために公約を行う。選出されて、それを実行する者は少ないが。当初からチャベスの選挙公約は極めて明解だった。貧しい人々、つまりあの時点ではベネズエラの人々の大多数の利益のために働くこと。そして、約束を守った。

それだからこそ、ベネスエラの人々が投票する準備を整えた今は、今回の選挙において本当の意味で何が賭けの対象になっているのか思い出すときだ。ベネズエラは地下にある巨万の埋蔵物、とりわけ炭化水素によって非常に豊かな国である。しかし、こうした富はほとんど全て、政治的エリートと多国籍企業によって独占されてきた。1999年まで一般庶民はわずかな残りかすしか受け取ってなかった。キリスト教民主、あるいは社会民主と変わる政権はどれも、市場に服従し汚職にまみれで、無差別に民営化を行った。ベネズエラの人々の半数以上が貧困ライン以下で暮らしていた(1999年において70.8パーセント)。

チャベスは政治的意思を優位に立たせた。市場を手なずけて新自由主義の攻撃を抑え、後には国民の合意によって経済の戦略的分野の国有化を行った。国家主権を回復したのだ。これによって、公的サービスや忘れ去られた人々のために富の再分配に取りかかった。

社会政策、公的投資、国有化、農業改革、ほぼ完全雇用、最低賃金、環境上の急務、住居や医療、教育、年金を得る権利など…。チャベスはまた、近代的な国家の建設にも尽力した。国土の整備という野心的な政策に着手したのだ。道路、鉄道、港、ダム、ガスや石油のパイプライン。

外交に関しては、ラテンアメリア統合に賭け、南と南の軸という恩恵を施すと同時に、米国に相互尊重に基づく関係を課した…。ベネズエラの推進力はラテンアメリカにおいて、まさしく進歩的な改革の波を巻き起こし、この大陸を模範とすべき孤島、新自由主義の破壊に対抗して蜂起する左派の抵抗の孤島へと変えた。

こうした変革のハリケーンは伝統的な権力構造をひっくり返し、当時までは階級制、垂直的でエリート主義であった社会の再構築をもたらした。これは、自分たちが正当な世界の支配者であると確信している支配階級の憎しみを解き放っただけではない。こうしたブルジョワ階級がワシントンという保護者の友人とともに、反チャベスの誹謗中傷大キャンペーンに資金を提供してきたのだ。彼らは自分たちが所有する巨大メディアと同盟して、2002年4月11日に国家クーデターを組織するに至った。

今日もこうしたキャンペーンは継続しており、欧州の一部の政治家やメディアはそれに口をそろえて賛同する役割を担っている。残念なことだが、繰り返しを真実であることの証明であるかのように受け取って、素朴な人々はウーゴ・チャベスが『表現の自由のない独裁政権』と化しつつあると信じてしまうのだ。

しかしながら、事実とは頑固なものである。民主主義の限界を縮小する代わりに拡大する『独裁政権』を見たことがある人がいるか?  そして、それまで疎外されていた何百万という人々に投票権を与えるのは? かつてベネズエラにおいて選挙は4年毎に行われるだけであったが、チャベスは国連、欧州共同体、米州機構、カーターセンター(The Carter Center)などが認めた民主的に合法な状況において一年に一回以上(13年で14回)選挙を行っている。

チャベスが示しているのは、自由で民主的な社会主義を構築できることだ。そして、その民主主義的な特質を社会変革プロセスのための条件の一つに変えることまでも。チャベスは2007年に国民投票で有権者が拒否した憲法改正を断念して、国民の意見に対する尊重を示した。カナダのFAD(Foundation for Democratic Advancementが、2011年に発表した研究において、当時のベネズエラを選挙おける公正さを敬う国の第一位にしたことは偶然ではない。[1]

ウーゴ・チャベス政権は、予算の43.2パーセントを社会政策に費やしている。その結果は次の通りだ。幼児死亡率は半分になった。文盲は根絶した。教員の数は5倍となった(6万5000人から35万人へ)。ベネズエラは、ラテンアメリカで最良のジニ係数(格差を計る)を示している。ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(CEPAL、国連の機関の一つ )は2012年1月の報告書において、ベネズエラはエクアドルとともに、1996年から2010年の間に最大の貧困率低下を達成した南米の国であると定めている。最後に北米の調査期間Gallupは、ウーゴ・チャベスの国を『世界で最も幸福な』国民の第六位に位置づけている。[2]

現在の誹謗中傷キャンペーンにおいて最も許せないのは、ベネズエラにおける表現の自由を制限しようとしていることだ。実際のところ、チャベスと敵対関係にある民間セクターがマスコミを広範に支配している。どれも検証できる。111あるテレビチャンネルのうち61 が民放、37が共同体の所有、13が公共放送となっている。視聴率は公共放送が5.4パーセントを超えない一方で、民放は61パーセントを上回る…。[3] ラジオ放送についても状況は同じだ。出版物の80パーセントは反対派の手中にあり、最も影響力の二大新聞エル・ウニベルサルとエル・ナショナルは政府に敵対している。

もちろん、ボリビア主義のベネズエラにも完璧なものなどない。―どこに完璧な政権が存在しているというのか? だからといって、その嘘と憎しみのキャンペーンは正当化できるものはない。ベルリンの壁が崩壊し、まるで人類にとって唯一の領域であるかのように『歴史の終わり』や『文明の衝突』と預言した人もいたときに、ラテンアメリカにおいて9カ国の少数支配の政権を追い払った民主主義の波という槍の先が、新しいベネズエラなのだ。ボリバル主義のベネズエラは、盲目的でもなく無邪気にでもなく、私たちが養分を得るインスピレーションの源である。ただし、 誇りを持ってバリケードの善の側に立ち、米国の悪の帝国と彼らが有するしっかりと保護された近東のショーウインドー、どこであろうとお金と特権が君臨する場所に対する打撃を温存することに、誇りを持って。どうしてチャベスは敵対する人々にこれほどの恨みを呼び起こすのだろうか? ボリバルが行ったように、人々を諦めから解放できたからであることに疑いの余地はない。そして、彼は人々の不可能なことへ対する欲望をかき立てたのだ。

[1]ベネズエラは85点獲得。米国30点、カナダ26点…。 http://venezuelanalysis.com/news/6336

[3] Mark Weisbrot ・Tara Ruttenberg著« Television in Venezuela : Who Dominates the Media ? » (pdf), Center for Economic and Policy Research, Washington, D.C., 2010年12月

Ignacio Ramonet y Jean-Luc Mélenchon-¿Por qué Chávez?

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