11月 14日水曜日のイベリア半島ゼネストは、スペインにとっては今年二回目となるゼネストでした。『疑問の余地のない歴史的なスト』と胸を張る労働組合と『いつも通りの日だった』とコメントした政府。見解の差が大きいのはデモ参加者数に関しても同じ。マドリッドのデモ参加者を約100万人とする労組側に対して、中央政府の発表では3万5000人。上空からの写真を見る限りでは、さすがに3万5000ということはないと思うのですが…。

(『Nueva Tribuna』紙より)

発表者によってデモ参加者数に食い違いがあるのはいつものことですが、これがバルセロナではちょっとした問題になっています。デモ参加者数の発表が原因で二大労組CCOOとUGTがカタルーニャの中央政府代表に辞任を求めているのです( UGT のサイト参照)。デモ参加者数は労組約100万、市警察約11万、中央政府約5万人という数字。

(11月14日のグラシア通り。Kaos en la Redより)

その一方で、中央政府によると10月12日スペインの日に行われた反カタルーニャ独立・スペイン主義者集会の動員は6万5000人。私も現場まで行ってみたのですが、せいぜい会場となったカタルーニャ広場がいっぱいになる程度で、報道機関は約1万人としていました。

(10月12日のカタルーニャ広場)

1キロはあるグラシア大通りから人が溢れ、中心部では身動きがとれないほどだった14日のデモより多いということは、どう考えてもあり得ない…。今回の件で、PP国民党が発表する数字を自分たちに都合が良いように操作をしているのが明白になってしまいました。

このデモの報道を巡っては、カタルーニャの政権党CiUに対する疑念も噴出。というのも、9月11日のカタルーニャの日の独立支持デモのときにはたくさんあった上空からの写真が、今回のデモに関しては一枚もないのです。上の写真もグラシア大通りの高層階からのもの。ヘリコプターは1日中旋回していたので、意図的に撮らなかったか、隠しているのか…。

また、今回もデモ参加者と警察が衝突して、内務省によると逮捕者142人、負傷者74人。バルセロナだけでも30人の逮捕者が出ていて、デモといえば衝突というお決まりのパターンになっていますが、バルセロナには今回以上の参加者を集めたにもかかわらず、警察との衝突が一件もなかった大規模デモがありました。前述のカタルーニャの独立支持のデモで、約150万人を集めたと言われています。

14日のデモで警察と衝突したのは主要な労組が呼びかけたメインのデモではなくて、アナルコサンディカリズム系の労組OGTやCNT、15Mの流れを汲む市民の団体が組織したもの。

反資本主義を掲げるデモで、スペインの一部マスコミが過激派と呼ぶグループが暴徒化したような印象を与える報道もされています。ところが、以前の記事にも書いたとおり、9月11日にもCUPなどが中心となって反資本主義のデモは行われているのです。呼びかけ団体が違うとはいえ状況はほとんど同じで、唯一違うのは9月11日には州警察の姿がなかったこと。人々が溢れる通りには市警察が交通整理をするくらいでした。

今までかなりの数のデモを見てきましたが、一定の規模に達しているにもかかわらず州警察の姿を見なかったのはあれが初めて。なんだか「州警察のあるところに暴動あり」のように思えてきます。いずれにしても、デモに参加する人々の気持ちを政治的に利用する政治家たちには、いい加減うんざり。

そんなわけで、今回のデモ参加者数を政府はスペイン全土で80万人としていますが、どこまで信憑性のあるものやら。おまけに、ゼネストのときは基本的に交通機関がストップしていて、デモが行われる場所まで移動できない人もたくさんいるので、ゼネストの成果を計るためにもう少し信用できる数字を見てみましょう。

それは給与所得者の中のゼネスト参加人数。なぜなら、ゼネストに参加するとその1日分のお給料が月給から引かれ、社会保険の積み立ても1日分停止になります。このシステムによって、ゼネスト参加者数が一桁まできっちりわかるというわけ。CCOOの情報によると…

  • カタルーニャ―給与所得者 240万4179人の内 38万1652人が最低限のサービス提供のためにストに参加できないので、ストができる人数は202万2527人。171万9148人の参加で参加率85% 
  • スペイン全体―給与所得者 1423万1452人の内225万9446人が最低限のサービス提供のためにストに参加できないので、ストができる人数は1197万3699人。918万5383人の参加で参加率77%

スペインの人口約4720万人なので単純計算で約19%がストを行ったことになります。この方法だと自営業者、577万8100人の失業者や学生などはカウントされないので、実際にはもっと多くの人がストに参加したことになります。実はストを行う方法は「働かない」だけではないからです。

こちらの「市民のためのゼネストマニュアル」によると…

  • 働かない
  • 消費しない
  • ストの情報拡散に協力する
  • 0時から5分間電気を消す
  • スト実施中とわかるようにする
  • 公共サービスを利用しない
  • ストについて周囲の人々に知らせる
  • 銀行をボイコットする

と、仕事をしていない人も、いろいろな形でゼネストに参加できるようになっているのです。

そして、ゼネストというのは、労働法改正などが行われたときに撤回を求めるなど具体的な要求を掲げて行われるもの。今回も同様で、ゼネスト後に労組代が連名で首相ラホイに送った書簡は緊縮政策からの方向転換を求めた上で、こう締めくくられています。

あなたがそうした変化を進めることができる状態にないのであれば、少なくとも市民の保証人となる道を模索してください。なぜなら、あなた自身が一番良くご存知のように、あなたたちの選挙での勝利を可能にした市民が投票によって裏書きした選挙プログラムは、現在政府が実施しているプログラムは根本的に異なっているからです。それはあなた自身も認めていることです。市民に発言権を返して、私たちの民主主義の再評価に貢献して、政治や政治を行う政府機関に対する失望や懐疑主義が増大するのを回避してください。

大統領殿、国民投票を実施してください。あなたにはそうする権限があります。私たちの憲法は例外的な状況に対してこの手段を考慮したものになっており、今がそのときなのです。

というわけで、次の目標は国民投票!!すでに10月15日から労働組合含む150以上の民間組織からなるCumbre Social社会サミットが、緊縮政策に関する国民投票を求める署名活動を行っています。同時に経済学者ナバロ氏を筆頭に法律家や作家などが参加する委員会も発足しているので、今後は国民投票の実現に向けての動きが一段と加速していくと思われます。

カタルーニャの独立問題だけでなく、スペインでは選挙以外で国民が民主主義への参加する道として、国民投票が人々の大きな期待を集めています。

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