今月のル・モンド・ディプロマティク・スペイン語版に掲載された『ウォール街を占拠せよ』に関する記事に「抗議活動は社会運動に変化しなければならない」ということが書かれていました。この記事を読んでなるほどと思ったのは、15Mから二年目となった2012年は、スペインでも具体的な要求を掲げる動きが大きく飛躍した年だったからです。

15Mはもともと中心も計画性もない偶然の産物だったため、各地域で独自に発展していったのですが、具体的な社会運動へと変化する過程ではそれがさらに顕著になっています。というのも、スペインは基本的に地方分権で医療、教育などは州の管轄にあるために、緊縮政策の実施方法も州によってそれぞれ。経済危機によって引き起こされた問題はスペイン全土で共通であるものの、何が切実な問題かということが地方自治体によって変わってくるのです。

例えば、州議会で過半数を握るPP国民党が民営化を押し進めるマドリッドからは公的医療を支援する運動『白い波』、失業率が4割にも達するアンダルシアからはSATを中心に貧困に対する対策を求める動きが、それぞれ全国的な注目を集めました。そして、住宅ローン未払いによる立ち退きの問題を告発するためにカタルーニャで生まれたPAHは国外にまでその名を知られるようになり、市民運動に理解のあるエクアドル大統領コレア、ボリビア大統領モラエスはスペインを訪れた際に代表のアダに面会を求めています。

特にエクアドル政府は、在スペインのエクアドル国民が直面した立ち退きに関して、立ち退き政策が人権侵害にあたると1月21日に欧州人権裁判所にスペインを提訴。PHAの活動を後方支援するような具体的な動きをとっています。その後1月24日に、PAHは必要条件50万を大幅に越える80万の署名を下院に提出。これを受けて下院はPAHからの提案であるローン法の改正と立ち退きの停止について審議を行うことになります。

粘り強く闘いを続ける人々の力によって、スペインの状況は少しずつですが確実に変わってきています。カタルーニャの一年の動きを振り返ることができるのが、こちらの『カタルーニャ2012-前進する民』。

内容は…

  • 15M一周年
  • 2011年広場の強制排除
  • PAH の活動
  • 二回のゼネスト 3月29日と11月14日
  • テレフォニカ職員のハンスト-スペイン通信の最大手テレフォニカからの解雇を不当とする裁判を起こし、勝訴したマルコス。一度は復職したものの整理解雇の対象となり、再び解雇されてしまいした。幹部との対話を求めて、彼を支援する同僚4人とハンストを決行しましたが、テレフォニカが対話に応じることはありませんでした。近年で数万人を解雇する一方で、テレフォニカは今月に入って破綻した銀行バンキアの元総裁ロドリゴ・ラトを10万ユーロの報酬で顧問として迎え入れています。
  • Café amb lletの裁判問題-ジローナ県で配布されている社会問題を扱うフリーペーパーで、『カフェ・アン・リェ』というタイトルはカタルーニャ語でカフェ・オ・レを意味します。カタルーニャの公的医療について調査を進めるうちに第一党CiUが関わる汚職の問題にたどり着き、告発ビデオを作成して公開し、大きな注目を集めました。ところが、このビデオに登場する人物の一人が名誉毀損で彼らを告訴。罰金の支払いを命じられることになりましたが、ひるむことなく現在も告発継続中。この件については新しい動きもあるので、別の記事で詳しく紹介したいと思っています。
  • カタルーニャの日デモ
  • カタルーニャ州議会選挙-獲得議席数の変化に注目するとCiU集中と統一党が12議席減らし、Unionistes統一主義(いわゆる独立反対派PPCカタルーニャ国民党、PSCカタルーニャ社会党、C’s市民党)も1議席減。この13議席がCiU以外のSobiranistes主権主義(いわゆる独立支持派ERC共和主義左派、ICV-EUiA緑の党-連合左派、CUP人民連合)に流れたというのがこの選挙の大きな傾向でした。
  • CUPの州議会進出

最後に州議会でCUPを代表して演説をするダビ・フェルナンデスですが、実は初めの広場の強制排除の映像で州警察に警棒で殴られる群集の中にいるんです。当選の際に「僕たちは通りの声を議会に運ぶ」と発言していましたが、まさにその通りなわけですね。まだ新議会が始まって1ヶ月足らずですがCUPの評判は上々で、次回の選挙ではさらに議席を伸ばすだろうと言われています。

実のところ、PAHにしてもCUPにしても15Mが起こるずっと前から活動していた組織なのですが、15Mによって社会問題を意識して行動する人の数が急増したことが、彼らに大きな力を与えることになりました。この大きな流れはもう変わることがないでしょう。今年もこのブログを通じて、バルセロナからスペインの人々の闘いを追いかけて行きたいと思います。

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