僕の伴侶は苦悩だけ
僕の忌まわしい運命だけが進んでゆく
法を逃れるために
走るのが僕の運命 

マヌ・チャオのソロデビューアルバム『クランデスティーノ』には、サパティスタの思想の影響が深く刻み込まれています。アルバムと同タイトルの歌のPVの中で、マヌの背後に移民の人波が途切れることなく続いているのは、本稿三つ目のピース―移民、さまようという悪夢」でマルコス副司令官が指摘している、私たちの誰もが移民となる可能性のある未来の姿を暗示したものでした。(第四次世界大戦が始まった(1)はこちらからどうぞ)

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私たちはパズルの前にいる。そのパズルを再び組み立てるため、つまり今日の世界を理解するためには、欠けているピースがたくさんある。しかし、この紛争によって人類が破壊に終わらないことを願って、この7つのピースを見つけることが可能だ。7つのピースを描き、色を塗り、切り取り、復元を試みる。そして、他のピース、この世界というジグゾーパズルと継ぎ合わせるのだ。

これらのピースの一つ目は、富と貧困が二重に蓄積していること、地球規模での社会の二極化。二つ目は、世界全体の搾取。三つ目は、人類の一部に何もすることがないという悪夢。四つ目は、吐き気を催すような権力と犯罪の関係。五つ目は、国家の暴力。六つ目は、メガポリティクスという謎。七つ目は、新自由主義に対して人類が展開している抵抗の様々な形式。

一つ目のピース―富の集中と貧困の分配

図1は貨幣の記号を描くことで作られる

人類の歴史において、世界秩序のマークのように馬鹿げたものを提案するため、様々なモデルが競い合ってきた。新自由主義は、そのメダル授与のときに特権的な場所を占めることだろう。その富の「分配」という概念は、二つの意味で馬鹿げている。少数の人々の富の集積と、何千万という人々の貧困の集積。不公正と格差が現在の世界の明瞭な特徴だ。地球には50億の人間がいる。5億人が快適な生活をしており、45億人が貧困に苦しんでいる。富裕層は手にする何百万というドルで、数の上で少数派であることを補っている。世界で最も裕福な358人の富、ドルの億万長者の富は、それだけで、世界の最貧困層の半分、約260万人の年収を上回っている。

多国籍企業の躍進が、先進国の発展を意味するわけではない。その反対に、こうした巨大企業が豊かになればなるほど、豊かと呼ばれる国において貧困が進んでいく。富裕層と貧困層の間の隔たりは巨大だ。社会的格差は小さくなるどころか、ますます大きくなっている。

君が描いた貨幣という記号は、世界の経済的な権力のシンボルである。さあ、これをドルの緑で塗ろう。吐き気を催すような臭いは無視するんだ。その堆肥、泥と血の臭いは、生まれつきだから。

二つ目のピース―搾取のグローバリゼーション

図2は三角を描くことで作られる

新自由主義の嘘の一つは、企業の経済的成長が富と雇用のより良い分配を生み出すというものだ。それは偽りである。王の力の増大がその家来の力の増大とはならない(その反対だ)のと同じように、金融資本の絶対主義は富の分配を改善することも、雇用を創出することもない。

貧困、失業、不安定雇用というのが、その構造的な結果である。

60~70年代に貧しい人(世界銀行の定義では一日1ドル以下で生活する人)の数はおよそ2億人であった。90年代初めには20億人となった。

貧困層や貧困化する人が増えて、富裕層や富裕層となる人が減る。これがパズルの一つ目のピースの教訓である。この馬鹿げた結果を得るために、世界の資本主義システムは商品の生産や流通、消費を「近代化」する。新たな技術革命(IT革命)と新たな政治革命(国民国家の廃墟の上に出現するメガシティ)が、新たな社会「革命」、実際には、社会的な力、主には労働力の再編成を生み出すのだ。

世界の経済活動人口(EAP)は1960年の13億8000万から1990年には23億7000万に増加した。労働可能な人が増えたが、新世界秩序は、労働力を特定の地域で流通させて、職務(あるいは、失業や不安定雇用の場合のような「無職務」)を再編成する。世界の分野別経済活動人口(EAPS)は、この20年間で劇的に変化した。農業・漁業は1970年の22%から1990年の12%、製造業は25%から22%に減少したが、第三次産業(販売、輸送、銀行、サービス)は42%から56%に増加している。発展途上国においては、サービス部門は1970年の40%から1990年の57%に増加する一方で、農業・漁業は30%から15%に減少した[1]。

ますます多くの労働者が生産性の高い活動に向けられている。このシステムは、世界市場が「現代的な」方法で経営される唯一の企業以外の何ものでもなくなるようにと、一種のメガボスのように行動する。

だが、新自由主義の「現代性」は、ユートピア的な「合理性」より野獣のような資本主義の誕生に近いようだ。というのは、資本主義的生産は児童労働を使い続けているからだ。世界にはおよそ11億5000万人の子供がいるが、少なくとも1億人がストリートチルドレンとして生活し、2億人が労働している-2000年には4億人になると予測されている。アジアだけで、製造業に1億4600万人の子供がいる。そして、北においてもまた何十万という子供が家計を助けるため、あるいは生存のために働いている。風俗産業で働く子供もたくさんいて、国連によると、毎年100万人の子供が性産業に身を投じているという。

世界中で何百万人もの労働者が失業や不安定雇用の状態にあることは、どうやら消えてなくなりそうにない現実だ。経済協力開発機構(OECD)加盟国において、失業は1966年の3.8%から1990年には6.3%になった。欧州においては2.2%から6.4%になっている。グローバル化した市場は中小企業を破壊する。地方や地域の市場の消滅とともに、保護を奪われた中小企業は、多国籍巨大企業との競争に耐えられない。こうして、何百万もの労働者が失業してしまう。新自由主義の不条理だ。雇用を創出するどころか、生産の増大がそれを破壊する-国連が「雇用なき成長」と呼ぶものである。

しかしながら、悪夢はここで終わらない。労働者は不安定な雇用条件を受け入れなければならない。不安定さはさらに増し、労働時間は長くなるが、賃金は下がる。これが、グローバリゼーションとサービス産業の搾取の結果である。

これらすべてが、ある種の余剰を生む。新秩序の役に立たない人間が余分となる。彼らは生産も消費もせず、銀行にローンを申し込むこともないのだから。要するに、使い捨てなのだ。毎日、金融市場は国家や国家グループに自分たちのルールを押し付けている。彼らはそこの住人を再分配する。そして、最後には、まだ余る人間がいることを彼らは確認する。

このように、三角に見える図は世界的な搾取のピラミッドを表している。

三つ目のピース―移民、さまようという悪夢

図3は円を描くことで作られる

私たちはすでに、第三次世界大戦の終わりに、一方にとっては征服するため、他方にとっては再征服するための新たな領土(旧社会主義諸国)が存在することを話した。そこから、市場の三重の戦略が出てくる。「地域紛争」と「内紛」が蔓延する。資本は異例なまでの蓄積という目標を追い求める。そして、大量の労働者がかき集められる。それがもたらす結果は、世界を貫く何百万という移民から成る巨大な車輪。「国境のない」世界の「異邦人たち」、冷戦の勝者の約束に従って、彼らは外国人に対する迫害、不安定雇用、文化的アイデンティティの喪失、警察からの弾圧、飢餓に苦しみ、刑務所に放り込まれなければ、殺害される。移民という悪夢は、その原因にかかわらず、成長を続ける。国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)によるとその数は、1975年の200万人から1995年の2700万人以上と文字通り急増している。

新自由主義の移民政策は、移民にブレーキをかけることよりも、世界の労働市場を不安定化させることを目的としている。第四次世界大戦は-その破壊/絶滅、再建/再編というメカニズムによって-、何百万という人々の移動を引き起こす。彼らの運命は、悪夢を背負ってさまようこと。仕事がある人への脅迫、人々にパトロンのことを忘れさせる案山子、人種差別の言い訳となるために。

四つ目のピース―金融グローバリゼーションと犯罪の蔓延

図4は四角を描くことで作られる

もしあなたが、犯罪の世界は墓の彼方や闇の同義語であると考えているなら、それは間違いである。冷戦と呼ばれた期間に、組織犯罪はもっと世間体の良いイメージへとを獲得した。それは現代的な企業のように動き始めただけではなく、国民国家の政治と経済システムの奥深くまで入り込んだのである。

第四次世界大戦の勃発とともに、組織犯罪はその活動をグローバル化した。五大陸の犯罪組織は「世界企業の精神」を我がものとし、新たな市場の征服に一緒になって参加した。彼らが合法的な事業に投資するのは、資金洗浄のためだけではなく、非合法な事業用の資金を獲得するためでもある。彼らが好む活動は、高額不動産業、レジャー、マスメディア、そして銀行。

アリババと40人の銀行家? それよりもたちが悪い。商業銀行は汚れた金を自分たちの合法的な活動のために用いる。国連の報告書によれば、「国際通貨基金(IMF)の融資を受けるために、負債を抱えた国々が受け入れざる得なかった構造調整プログラムによって、犯罪シンジケートの躍進が促進された[2]」という。

組織犯罪はタックスヘイブンのことも頼りにしている。およそ55のタックスヘイブンがあり、そのうちの一つケイマン諸島は、バンキング・センターとして第5位を占め、登記された企業や銀行の数は住民の数よりも多い。汚れた金の洗浄に加えて、タックスヘイブンは脱税にも役立つ。ここが、統治者とビジネスマン、マフィアのボスの間のコンタクトの場となっている。

さて、ここにある四角い鏡の中では、合法と非合法が鏡に映る姿を交換している。鏡のどちら側に犯罪者がいるのか? それを追いかける者はどちら側?

五つ目のピース―違法な権力の正当な暴力?

図5は五角形(ペンタゴン)を描くことで作られる

グローバリゼーションというキャバレーにおいて、国家はストリップにいそしみ、必要最低限のものしか残さない。弾圧という力だ。重要な基礎が破壊され、主権や独立が無効にされ、政治家階級の影は薄くなり、国民国家はメガ企業に仕えるための単なる安全装置と化す。社会費に公的投資を向ける代わりに、社会のより効果的なコントロールを可能にする装備を向上させることを好む。

暴力が市場のルールから生じると、何が起こるのだろうか? 正当な暴力はどこにあるのか? 違法性はどこに? 暴力の独占は、需要と供給を巡る自由なゲームがそのような独占に挑むときに、不満を抱える国民国家に何を要求することができるのか? 私たちは四つ目のピースにおいて、組織犯罪、政権、金融センターがすべて緊密に結びついているのを目にしなかっただろうか? 組織犯罪が本物の軍隊を手にしていることは明白ではないか? 暴力の独占はもはや国民国家に属するのではない。市場がオークションにかけるのだ…。

暴力の独占の争奪戦が市場のルールではなく、「下の人々」の利益に基づいておこなわれると、世界の権力は攻撃とみなす。これこそが、人類のため、新自由主義に反対するために、サパティスタ民族解放軍(EZLN)の戦闘と蜂起において、先住民が開始した挑戦の中で最も研究されていない(最も非難された)側面の一つである。

米国の軍事力のシンボルはペンタゴンである。新たな世界の警察が望んでいるのは、国家の軍隊と警察が新自由主義メガシティにおける秩序と進歩を保障する単なる治安維持組織となることなのだ。

[1]Ochoa Chi & Juanita del Pilar,『Mercado Mundial de Fuerza de Trabajo en el Capitalismo Contemporáneo』(UNAM、 Economia、メキシコシティ、1997年)

[2]国連『The Globalisation of Crime』(ニューヨーク、1995年)

第四次世界大戦が始まった(1)-マルコス副司令官

第四次世界大戦が始まった(2)-マルコス副司令官

第四次世界大戦が始まった(3)-マルコス副司令官

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