経済から世界を変える

先日、スペイン内戦に関するドキュメンタリー「Economia col·lectiva. L’última revolució d’Europa 共有経済ー欧州最後の革命」を見てきました。

内戦下で起こったアナキスト革命を扱ったもので、実際にどんな変革が行われたのかという革命の中身を詳しく説明しているのですが、これがとても興味深い。

内容をかい摘んで説明すると、1936年7月市民たちの逆襲でフランコ反乱軍にクーデターが失敗に終わると、権力が空白となった機会を利用してアナルコシンディカリズムの労働組合CNTが革命を開始。すでにCNTは5月10日の総会で革命実施を決議して準備を進めていたことから、革命への移行がスムーズに行われてアナキズム革命が始まります。

ここで実践されたのが、資本家を排除して生産手段を労働者の共有物とするEconomia col·lectiva 共有経済です。コミュニズムというとソ連のような国有に基づくものを思い浮かべますが、スペインで実践されたのはアナキズムから生まれた共有に基づくComunisme llibertari 解放主義コミュニズムでした。 もっと読む

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コバネのクルド人とカタルーニャ独立主義左派

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私がカタルーニャ独立主義左派とクルドの関係に気がついたのは、2013年にパリでクルド人活動家3人の暗殺が起こったときでした。独立主義左派に近いオルターメディアでこの悲劇が大きく取り上げられて、この流れを汲む政党CUPの州議会議員Quim Arrufat キム・アルファトが友人としてパリでの葬儀に参加したからです。

カタルーニャ独立主義左派というのは、19世紀末のキューバの独立に刺激を受けて活発化したカタルーニャも独立すべきという思想が、当時カタルーニャで大きな影響力を持っていたアナキズムと出会って生まれたイデオロギーで、民族的解放(スペインの支配からのカタルーニャ人の解放)と社会的解放(労働階級の解放)を同時に実現するために完全な主権を獲得しようというものです。さらに、フランコ独裁政権の成立によってカタルーニャの独立が挫折した後に、キューバでフィデル・カストロが率いた革命がこの二つの解放を目指すものであったということも、非常に興味深いところだと思います。 もっと読む

2012年まとめ-15M後のカタルーニャ

今月のル・モンド・ディプロマティク・スペイン語版に掲載された『ウォール街を占拠せよ』に関する記事に「抗議活動は社会運動に変化しなければならない」ということが書かれていました。この記事を読んでなるほどと思ったのは、15Mから二年目となった2012年は、スペインでも具体的な要求を掲げる動きが大きく飛躍した年だったからです。

15Mはもともと中心も計画性もない偶然の産物だったため、各地域で独自に発展していったのですが、具体的な社会運動へと変化する過程ではそれがさらに顕著になっています。というのも、スペインは基本的に地方分権で医療、教育などは州の管轄にあるために、緊縮政策の実施方法も州によってそれぞれ。経済危機によって引き起こされた問題はスペイン全土で共通であるものの、何が切実な問題かということが地方自治体によって変わってくるのです。

例えば、州議会で過半数を握るPP国民党が民営化を押し進めるマドリッドからは公的医療を支援する運動『白い波』、失業率が4割にも達するアンダルシアからはSATを中心に貧困に対する対策を求める動きが、それぞれ全国的な注目を集めました。そして、住宅ローン未払いによる立ち退きの問題を告発するためにカタルーニャで生まれたPAHは国外にまでその名を知られるようになり、市民運動に理解のあるエクアドル大統領コレア、ボリビア大統領モラエスはスペインを訪れた際に代表のアダに面会を求めています。

特にエクアドル政府は、在スペインのエクアドル国民が直面した立ち退きに関して、立ち退き政策が人権侵害にあたると1月21日に欧州人権裁判所にスペインを提訴。PHAの活動を後方支援するような具体的な動きをとっています。その後1月24日に、PAHは必要条件50万を大幅に越える80万の署名を下院に提出。これを受けて下院はPAHからの提案であるローン法の改正と立ち退きの停止について審議を行うことになります。

粘り強く闘いを続ける人々の力によって、スペインの状況は少しずつですが確実に変わってきています。カタルーニャの一年の動きを振り返ることができるのが、こちらの『カタルーニャ2012-前進する民』。

内容は…

  • 15M一周年
  • 2011年広場の強制排除
  • PAH の活動
  • 二回のゼネスト 3月29日と11月14日
  • テレフォニカ職員のハンスト-スペイン通信の最大手テレフォニカからの解雇を不当とする裁判を起こし、勝訴したマルコス。一度は復職したものの整理解雇の対象となり、再び解雇されてしまいした。幹部との対話を求めて、彼を支援する同僚4人とハンストを決行しましたが、テレフォニカが対話に応じることはありませんでした。近年で数万人を解雇する一方で、テレフォニカは今月に入って破綻した銀行バンキアの元総裁ロドリゴ・ラトを10万ユーロの報酬で顧問として迎え入れています。
  • Café amb lletの裁判問題-ジローナ県で配布されている社会問題を扱うフリーペーパーで、『カフェ・アン・リェ』というタイトルはカタルーニャ語でカフェ・オ・レを意味します。カタルーニャの公的医療について調査を進めるうちに第一党CiUが関わる汚職の問題にたどり着き、告発ビデオを作成して公開し、大きな注目を集めました。ところが、このビデオに登場する人物の一人が名誉毀損で彼らを告訴。罰金の支払いを命じられることになりましたが、ひるむことなく現在も告発継続中。この件については新しい動きもあるので、別の記事で詳しく紹介したいと思っています。
  • カタルーニャの日デモ
  • カタルーニャ州議会選挙-獲得議席数の変化に注目するとCiU集中と統一党が12議席減らし、Unionistes統一主義(いわゆる独立反対派PPCカタルーニャ国民党、PSCカタルーニャ社会党、C’s市民党)も1議席減。この13議席がCiU以外のSobiranistes主権主義(いわゆる独立支持派ERC共和主義左派、ICV-EUiA緑の党-連合左派、CUP人民連合)に流れたというのがこの選挙の大きな傾向でした。
  • CUPの州議会進出

最後に州議会でCUPを代表して演説をするダビ・フェルナンデスですが、実は初めの広場の強制排除の映像で州警察に警棒で殴られる群集の中にいるんです。当選の際に「僕たちは通りの声を議会に運ぶ」と発言していましたが、まさにその通りなわけですね。まだ新議会が始まって1ヶ月足らずですがCUPの評判は上々で、次回の選挙ではさらに議席を伸ばすだろうと言われています。

実のところ、PAHにしてもCUPにしても15Mが起こるずっと前から活動していた組織なのですが、15Mによって社会問題を意識して行動する人の数が急増したことが、彼らに大きな力を与えることになりました。この大きな流れはもう変わることがないでしょう。今年もこのブログを通じて、バルセロナからスペインの人々の闘いを追いかけて行きたいと思います。

カタルーニャが主権を宣言!

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左からICV党首エレウ、ERC党首ジュンケラス、CiUのマス州大統領。Vilawebより

本日1月23日カタルーニャ州議会が賛成多数で主権宣言を採択し、ついに2014年実施予定のカタルーニャの独立を問う州民投票への第一歩を踏み出しました。投票の内訳は賛成85票、反対41票、棄権2票と過半数を遥かに越えての可決。

この宣言に関しては、事前の合意に従って約2週間前に第一党CiU集中と統一党、第二党ERCカタルーニャ共和党左派が交渉を開始。一環して反対を表明していたPPCカタルーニャ国民党とC’s市民党を除く、ICV-EUiA緑の党―連合左派、PSCカタルーニャ社会党、CUP人民連合を取り込む試みがなされてきました。結局ICV-EUiAが内容に関して合意。

こうして、3党の連盟で提出された宣言に対して、PPCとC’sは党として反対票を投じました。ここまでは大方の予想通り。

CUP人民連合は宣言の中にバレンシアやバレアレス諸島を含むカタルーニャ語圏を表す「Els Països Catalans」という概念を明示されていないこと、欧州連合EUへの加盟が前提となっていることを不服として、3人の議員のうち賛成1、棄権2として全面的な賛成を避けました。

注目すべきはPSCカタルーニャ社会党。カタルーニャの州民投票に真っ向から反対している中央のPSOE社会労働党とのしがらみもあって、最終的に党として反対に回ることになり、党首ナバロも反対のスピーチを行っていました。ところが、いざ蓋を開けてみたら5人が投票を行わず、反対票15という結果に。

すでにカタルーニャ主権の支持を表明して党を去った有力議員エルネスト・マラガイが新政党の設立を宣言していることもあり、この場面で党として足並みを揃えられなかったことは、今後に大きな影響を与えそうです。

以下に、カタルーニャ主権宣言の本文をご紹介しておきます。読んでいただければわかりますが、この宣言には『Independència 独立』や『Estat propi 固有の国家』という言葉は出てきません。今回の宣言はあくまでもカタルーニャの民に『Sobirania 主権』があり、『Dret de decidir 決定権』があることを確認するものなのです。そして、この権利に基づいて州民投票が実施されることになります。

カタルーニャの民の主権と決定権の宣言

カタルーニャの民が民主主義的に表明した多数派の意思に従い、カタルーニャ州議会は、次の原則に則ってカタルーニャの市民が集団的な政治的未来を決定できるように、 決定権の行使を有効なものとするためのプロセスを開始することを合意する。

  • 主権。カタルーニャの民は、民主主義的正当性を根拠として、主権を有する政治的及び司法的な主体という資質を有する。
  • 民主主義的正当性。決定権行使のプロセスは 、結果が民衆の多数派の意思を表すものとなるように、カタルーニャの社会内部での審議と対話を通じて、とりわけ複数の選択肢を用意し、その全てに対する尊重を保障することで、細心の注意を払って民主主義的なものとし 、決定権を根本的に保障するものとする。
  • 透明性。カタルーニャの民と市民社会の全体が決定権の公使に必要なあらゆる情報及び知識を手にしてプロセスへの参加を促進するために、必要とされる道具は全て提供される。
  • 対話。スペイン国家、欧州機関、国際社会全体と対話及び交渉を行う。
  • 社会的つながり。国の社会的及び領土的つながりと、カタルーニャ社会が何度も表明してきた唯一の民としてカタルーニャを維持するという意思を保障する。
  • 欧州主義。欧州共同体の基本的原則、とりわけ市民の基本的権利、民主主義、福祉国家への責任、欧州の異なる民の間の連帯、経済的、社会的及び文化的な進歩に賭けることを支持し、推進する。
  • 合法性。経済の強化と決定権の公使を有効なものとするために、既存の法的枠組みを全て用いる。
  • 州議会の主な役割。州議会はカタルーニャの民を代表する機関として、この過程において中心的役割を有し、従って、この原則を保障する仕組みと作業を進める方法について合意し、明確化しなければならない。
  • 参加。カタルーニャ州議会と州政府内閣は、全過程において地域社会、そして私たちの国の政治勢力、経済主体、社会的主体、文化的及び市民的機関の最大数が積極的に参加するようにし、この原則を保障する仕組みを明確化しなればならない。

カタルーニャ州議会は、市民全体に対して、このカタルーニャの民の決定権の行使の民主主義的プロセスに積極的に参加し、その主役となるように呼びかける。

2013年1月23日水曜日。州議会